12月になり、1年の締めくくりを考える月になりました。今年はいかがだったでしょうか。また新型コロナウイルス感染症発生からほぼ3年。職場、学校、家庭、あらゆる箇所に大きな変化をもたらせました。動物病院でも変化がありましたので、少しご紹介します。
動物病院の診察は一頭一頭に時間がかかるため、待ち時間がどうしても長くなる傾向にあります。この待ち時間対策が感染予防対策の主体となります。コロナ禍を機に予約診療を取り入れた病院が多くなりました。予約診療によって、以前の半分くらいに待ち時間が減りました。待っている場所も待合室ではなく、お車の中や近ければご自宅で待っていただき、携帯電話でご連絡をしたり、呼びベルをお渡しして、診察が近くなったらベルを鳴らすようにして、密を避けるようにしました。その他にも受付の自動化、セルフレジの導入で人の流れが留まらないようにした病院もあります。また病院に来られる回数を減らす目的でWEBで処方食を購入できるようにしたり、慢性疾患の薬は来院されなくても処方したりしました。
さまざまな会議や学会、セミナーもWEB開催が主体になっています。会場までの移動でかかっていた時間やコストが大幅に削減されました。遠いからとか予定が合わないからと行けなかった学会・セミナーも参加できるようになりました。その分、数が増えましたので情報がかなり集まるようになっています。診療に役立つことも手軽に入手できるように変化しています。多くの獣医関連のセミナーは外来が終わる頃から始まりますので、ほとんどが夜から始まります。見逃し配信されるものもありますが、時間調整に苦労します。
しつけやペットの問題行動の相談もWEBでできるようになりました。今まではトレーナーさんや問題行動を専門に診察している獣医師の元へ行き、トレーニングや治療を受けていました。しかしトレーニング中は改善してもお家に帰ってきたら、元に戻り、問題が解決されないことが往々にしてありました。WEBを利用したトレーニングはリアルな画像を観ながら、専門のトレーナーや獣医師がアドバイスしていきます。ペットの家での行動が分かり、実際にトレーニングに取り組む家族のやり方を指導したり、悩みの相談に乗ったりします。直接飼い主さんとペットに対して指導を行いますので、効果も早く、安定して行くことが期待されます。
オーダーメイドの食事、手作り食についてもWEBを利用したレシピ作りができるようになりました。こちらも専門に勉強してきた獣医師がサイトを立ち上げています。犬種、体型、毛並み、罹患した病気に合わせた食事を考えてくれます。中には糞便中の腸内細菌を調べて、その子に合わせた食事を考えてくれるメーカーもあります。
コロナ禍でデジタル化が10年先に進んだとも言われています。動物病院でもIT化が進みました。しかし、感染対策を講じながらも五感をフルに使った診察や、親代わりの飼い主さんからペットのお話を聞くことはとても重要です。ここは変化しないところであって欲しいです。
第8波になったとも言われている新型コロナウイルス感染症、引き続き感染対策を続けていきましょう!
■著者 アース動物病院 院長 上田 広之 氏