4月に入り、新しい門出を迎えられている方、気持ちも新たに新年度のスタートを切った方も多いかと思います。グラコムにコラムを書かせていただく機会を経て、次回6月号で200回を迎え、最後のコラムになります。ラスト2回はちょっとだけ思い出話を書かせていただきたいと思います。
今さらながらですが、自己紹介させていただきます。6年制獣医師一期生として1984年帯広畜産大学を修了し、東京の人体薬の薬品会社で1年半抗菌剤の毒性試験に従事、網走保健所東藻琴食肉検査所に4年弱勤めました。アース動物病院は1988年に開業し36年になります。私は開業1年後に入りました。小動物臨床の経験は全く無く、当時の院長の診察の補助をし、どうしてこの診断になり、この治療になるのか教科書で確認し、一頭一頭ノートにまとめていました。それでも疑問に残った症例は、自分たちで作った症例検討会や学会などで発表させていただいたり、先輩の病院へ直接搬送したり、専門の先生をお呼びしてたくさんのことを教えていただきました。このように小動物のことを全くわからない私を育ててくれたのは、直接ご指導いただいた札幌、岩見沢、網走の先輩先生方、学会発表を通してご助言をいただいた先生方のおかげです。
開業当初は院長と補助1名からスタートしました。ペットブーム、室内飼育の増加、ペットを家族として飼われることが多くなり、病気の予防、治療はもとより、健康診断や各種相談事で動物病院を訪れる飼い主さんも多くなりました。動物病院で働くスタッフの職種もこの36年間で変わりました。獣医師、愛玩動物看護師、医療トリマー、動物ケアアシスタント、事務職、清掃アシスタントたちが日々活躍してくれてます。特に愛玩動物看護師は4年前にできたばかりの国家資格ですが、彼女たちの存在はとても大きく、動物病院に大きな変化をもたらせました。「獣医療の診療補助」という独占業務を担うこととなり、獣医師の指示・指導のもとに注射、投薬、採血、採尿、限定ですが救急処置などもできるようになりました。他にも栄養管理、デンタルケア、しつけ相談などを担ってくれています。獣医師の診察が終わった後、診察室や待合室で飼い主さんと談笑しながら寄り添う姿は日常風景になっています。そのほかにも自ら企画立案してパピークラス、シニアクラス、デンタル教室などを実施してくれています。こういった取り組みを重ねてきて、できたのが「チーム診療」です。獣医師に愛玩動物看護師、アシスタントが付き、チームとなって、診察、検査、手術、外注検査依頼、飼い主さんへの説明、電子カルテ入力などはチーム内でほぼ完結していきます。それぞれの責任感が増し、お互いがフォローできるスタイルになっています。毎日たくさんの「ありがとう」が飛び交い、どこかしこでミーティングが行われているのがいつのも風景になっています。人口減少、少子高齢化など様々な要因により、2004年をピークにペットの頭数が4割近く減っていますが、人とペットとの絆はさらに強いものとなっています。動物病院が担う役割も増してくるかと思われます。今後も変化を厭わないスタイルは続くことでしょう。
この4月、私も院長職を下り、新しい門出を迎えます。同じ鳥取県出身で、尊敬する山根義久先生からいただいた言葉「夢・情熱・冒険」を胸に、地域の獣医師、動物愛護活動に携わる皆さん、行政の皆さんと共に「ペットと飼い主さんの笑顔のため」に少しでもお役に立てるように、もう少し働ければと思います。
最後に春はペットたちの予防シーズンです。忘れないでくださいね!
■著者 アース動物病院 院長 上田 広之 氏