飼育放棄や災害などで飼い主を失った犬や猫などの保護・譲渡を行う「動物愛護管理センター」の整備が北海道でも進み始めています。2019年改正動物愛護管理法が施行、都道府県等で運営する動物愛護管理センターの環境改善が求められました。しかし、当時全国で唯一北海道だけが開設さえもされていませんでした。2021年度全道で4か所開設されることになりました。2022年度に道央、道東で実証事業、2023年度は道央、道東の本格運用と道北、道南の実証事業が行われました。そして本年度4月1日から道央の酪農学園大学内に北海道動物愛護センターの基幹センター「あいにきた」がオープン。災害時にも対応できるようにエネルギーを自立的に供給できる「ハウスユニット」を導入し、このユニットを複数連結させ、平時は通常のセンターとして使用します。災害発生時はユニットの一部を切り離して被災地へ移設し、現地の電力供給がストップした状況でも、被災動物の保護、収容などの対策拠点となるようです。他の3つのエリアでは地元で動物愛護活動を行っている法人が北海道から委託され、センターのサテライトとして活動を行なっていきます。3つの法人は道東が音更ティアハイム十勝、道南が函館ニャン友ねっとわーく北海道、道北が北見アニウェル北海道です。委託業務は北海道立保健所で長期収容されている犬や猫を引き取り、飼養管理、新しい飼い主さんへ譲渡することと適切な飼養管理の啓蒙などです。
委託されている法人は北海道動物愛護センター委託業務だけでなく、それぞれ独自の活動も行なっています。そこで地元北見のアニウェル北海道について少しお話ししましょう。
30年以上前から、北見市はオホーツク総合振興局、オホーツク獣医師会、北見市獣医師会、動物愛護団体などと協力して動物愛護活動を行ってまいりました。また3年前に地域おこし協力隊が動物愛護推進員として北見市に着任したのを機に「北見市犬猫愛護協議会」ができ、多くのボランティアの皆様のご協力のもと、譲渡会、飼い主のいない猫の避妊去勢手術、協力動物病院での診療などを行ってきました。また活動を進める中で、北見市以外からも多くの相談が多く入るようになり、広域な対応が求められるようになりました。振興局・各保健所・市町村それぞれ対応していますが、収容施設の老朽化、狭小化、長期収容動物の増加などの問題が山積されています。道北エリアの中核都市である旭川市は10年前から自前の動物愛護管理センター「あいまある」を運営しています。そんな中北見市でのセンター開設の要望が浮上し、獣医師会、NPO法人、北見市犬猫愛護協議会が中心となり、非営利型一般社団法人アニウェル北海道を昨年設立しました。
オホーツク管内でもいろんなスタイルで動物保護活動をされている団体があり、日々素晴らしい活動をされております。動物愛護センターだけが動物愛護の形ではないことは理解しています。小さな一歩ながらも活動を開始した「アニウェル北海道」ではありますが、皆様には当法人の趣旨をご理解いただき、温かいご支援をいただきますよう心からお願い申し上げます。
■著者 アース動物病院 院長 上田 広之 氏