今年は元旦に能登半島地震が発生しました。正月で家族が集まる日にこのような災害が発生したことに心痛な思いです。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様へ心よりお見舞い申し上げます。
真冬の降雪地での地震、活断層の地盤隆起による道路・港湾を含めた交通網の遮断、半島という地形もあり、孤立集落の解消が難しいという特徴があるかと思います。毎日、新聞・テレビ等で報道されたり、SNSで情報発信されています。内閣府HPでは「令和6年能登半島地震による被害状況」の中ではあらゆる領域の情報が更新されています。この中にはペットの状況も載っています。
被災した地元の石川県獣医師会では1月8日に「令和6年能登半島地震動物対策本部」を設立し、会員の被害状況の把握とともに、負傷した被災動物への応急手当・被災動物の保護及び管理・被災動物に関する情報提供・施設、設備及び物資の供給その他必要な災害応急業務などに取り組んでいます。輪島市、珠洲市の動物病院は開院できない状況が続いています。他の地域も限定的な診療が続いているようです。石川県内には登録されている犬が約48000頭います。猫の頭数は正確な数字はありませんが、10万頭くらいかと思います。ペットとの同行避難が推奨されていますが、被災した人たちの中には避難所にペットを連れて行けず、自宅にとどまったり車中泊を続けたりするケースがあり、テレビでも報道されています。同行避難できなかったペットたちも数多くいるかと思います。崩れた家屋の下で丸くなった猫の姿も報道されていました。この状況に対応するために関西や中部、中国地方のNPO法人ではいち早く、被災動物の受入れを表明しているところもあります。交通網が改善されれば実際に保護活動に現地に赴くところもあるかと思います。新潟市では同伴避難(飼い主とペットが同じエリアで生活)できる施設も用意しました。また1月15日から石川県獣医師会は、県内の46の動物病院で被災した人たちのペットを1ヵ月間、無料で預かる取り組みを始めました。ライフラインの復旧、復興が優先されますが、長期にわたることが予想される中で、人に寄り添い、笑顔なり、癒しをもたらしてくれるペットの存在はとても大きいと思います。ペットたちは何が起こっているか把握できません。家族なり、関わってくれる人の表情を見たりや声のトーンや心理状態を感じて何が起こっているか把握しようとしています。人の生活の復興優先の中でも、笑顔で名前を呼ばれたり、安心・安全な場所(安全基地)が確保されることを望んでいます。
石川県獣医師会能登半島地震動物対策本部では募金をお願いしています。
口座は北國(ほっこく)銀行 森本支店 普通預金 49989「令和6年能登半島地震動物対策本部」宛です。
宜しかったらご協力頂けましたらありがたいです。
過去北海道獣医師会は2000年春の有珠山の噴火と2018年秋胆振東部地震の際に動物救護センターを開設しました。厳寒の時期ではありませんでしたが、今回のような真冬に災害が起こったらと思うと対策を急がなくてはならないと感じます。このオホーツク地域は行政はもとより、ボランティアさんたちの意識が高いので、皆さんのお知恵を集めて形にできればといいですね。
■著者 アース動物病院 院長 上田 広之 氏