ペット医療コラム

【vol.24】胸に手をあてて〜乳腺の腫瘍

今年は例年より雪解けが早そうですね。町内会の冬あか一掃運動も始まってきます。冬の間運動不足になりがちなペットたちも外に出て散歩ができる季節になります。 散歩をしていると雪の下からいろんなゴミ、中にはペットの糞も出てきます。皆さんの近くの公園のウンチ拾いをしませんか?
今回はペットたちの胸に手をあててみましょう。呼吸や心臓の拍動を感じ「生きている」ことを実感すると思います。 安静にしているときのペットの呼吸数や心拍数を記録しておくことも健康管理には重要です。胸に手をあてて10秒間数え6倍してください。犬や猫は呼吸は1分間に20~40回、心拍は1分間に80~130回が正常です。 次に胸の表面を脇から内股まで触ってみて下さい。4、5対の乳首を触ると思います。乳首以外に出っ張ったものはまずありませんのであれば異常です。
実は犬猫の腫瘍の中で最も多いのが乳腺腫瘍です。年間100頭近く来院されます。発情と関係して大きさが変わるものもありますが、多くは無関係にゆっくりと大きくなっていきます。時々今朝見つけたと言って直径5cmにもなってから来院される方がいますが、明らかに発見が遅過ぎます。
犬は悪性の割合は約50%、猫は悪性の割合は約90%と言われています。 また大きさでいうと犬は直径5cm、猫は直径3cm以上はほぼ悪性と言われています。直径1cmの中には約10億個の腫瘍細胞が増殖しています。また触り心地や数もチェックしてください。比較的硬くてこりっとしている場合は良性のことが多いですが、弾力性のあるものや筋肉に根がはって動きづらいものは要注意です。中でも板状に赤くなっていたり痛みのあるものは最も悪性のタイプになります。
今隣に寝ているペットの胸にそっと手をあててみてください。どうですか? 治療の基本は手術なので、異常なものを見つけたら動物病院へ行ってみてください。早ければ早いほどいいでしょう。まず痛くない検査(見て触ってレントゲン検査)をし、細い針で刺す検査(血液検査、しこりを刺して顕微鏡検査)をして状態を把握し、飼主さんと相談しながらペットにとって最もいいと思われる治療方針を決めていきます。
今回は「胸に手をあてて」をテーマに書きましたが、毎日が反省の日々を送っている私でした。とほほ…ではまた。
今年も皆さん元気で、動物たちと楽しく過ごしましょう。

  2006/04/28   gracom
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