ペット医療コラム

【vol.87】辰年を迎えて

新年を迎え、穏やかに過ごされていることを願っています。 昨年は何と申しましても、3月11日に東日本大震災が起こり、近代日本が経験したこともない試練の年でした。 しばらくはその影響が続くと思われます。多くの動物たちも家族とともに被災したわけですが、先日の北海道獣医師会の役員会の席で、岩手県の被災動物教護センターが無事解散できたと聞きました。 復旧の一つの証として喜ばしいことです。
しかし、福島県の現状は未だきびしく、救護センターには多くの動物たちが収容されています。 そのうち犬8頭が北海道のボランティアの方に引き取られたということでした。 しかし、産業動物も含めまして問題は山積みです。
多くの方々に義援金という形でご協力いただきましたが、引き続き動物たちのことも心に留めていただけましたら幸いです。
さて今年は辰(竜)年です。
干支の中で唯一実在しない動物です。 竜の姿は、角は鹿、頭は駱駝、目は鬼、身体は蛇、腹は蜃(想像上の動物)、鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛に似ており、長い髭をたくわえ、あごの下に1枚だけ逆さに生えた逆鱗(げきりん)があります。 竜はこの逆鱗に触れられるのが大嫌いで、触れられると激高するとされています。 想像上の動物ですが、何か威厳を感じます。 古代中国の神話では神獣とされ、皇帝のシンボルといわれ、最上級という意味だそうです。
蛇足ですが、この竜が動物病院に来たらどうやって治療しましょうか? 逆鱗にだけは触れないようナダメながら診察し、硬いウロコの間から注射をして薬も出してみましょうか。 ところで薬の量はどうしましょう。哺乳類、は虫類、両生類…いや、鯉が出世したものとも考えられていますので魚類でしょうか。 動物の種類によって薬の量は決まっていますので困ります。 病気が治ったら背中に乗せてもらい住処まで連れてってもらいましょうか。楽しみです。
昨年一年を象徴する漢字は「絆」が選ばれました。 数々の自然災害により、家族や友といった身近でかけがえのない人に対する絆を改めて感じたということが選考理由のようです。 そして、その絆のために自分は何ができるのか改めて考えた一年だったと思います。 竜頭蛇尾にならないよう、今年もいろんなことを発信できればいいと思います。 またお付き合いお願いします。

  2012/01/28   gracom
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