ペット医療コラム

【vol.103】動物たちが我々にに与えてくれるもの~幸せホルモン上昇~

町内会の冬あか一掃も終わり、北国の春がようやくに到来。サクラ、タンポポ、水仙、ツツジなど一斉に咲きはじめます。 いい季節です。動物たちと外に出かけましょう。 ある動物専門の薬品会社の小動物獣医学情報誌(SAC NO.171 2013年)に、表題のテーマが記載されていました。 とても興味深かったので、本誌に内容を掻い摘んで書いてみる事とします。 もちろん、そのメーカーさんにはあらかじめお許しをいただいております。 新しい学問として「ヒトと動物の関係学:Anthrozoology」が欧米で研究されてきました。 その基本となった研究が4つあります。
(1)心臓疾患を患っている患者さんのうち、ペットを飼っているヒトの方が飼っていないヒトと比べると、1年後の生存率が高い(1980年):ペットはイヌやネコ以外でも効果があったようです。
(2)高齢者が動物を飼うことで、ご本人の病院の通院回数が減り、結果として医療費削減につながる(1990年):ドイツやオーストリアでは、医療費全体の17%ぐらい医療費軽減に貢献しているとのことです。 しかし、高齢者は自分の方が先に逝ってしまうのではないかと心配で、動物を飼うことを躊躇されています。 この辺りの手だても欧米では考えているようです。
(3)体がだるい、やる気が起こらないなどの日常的な健康問題がイヌやネコを飼うことにより、問題発生件数が一ケ月で半減した(1991年)
(4)男性のイヌの飼主は、収縮期血圧とコレステロール、中性脂肪が低い。40歳以上の女性で、イヌを飼っている方が収縮期血圧が低い(1992年)
こういったデータをもとに、世界保健機構は2000年に「動物はヒトの健康に大変良い」と公表しています。 アメリカではお年寄りが健康上の問題で受診した際に、「イヌやネコを飼うこと」といった処方箋を出すことが認められているそうです。 すごいですね。 また、幸せホルモンと言われているオキシトシン、やる気の指標となるドーパミンを調べた研究や、脳の血流を調べた研究によりますと、イヌと飼主が見つめ合うことにより、ヒト・イヌともオキシトシン・ドーパミンが上昇するようです。 また、ネコは見ることより触ることの方がヒトの脳の血流を多くするようです。
すでに日本は高齢化社会に突入しています。 医療費が少しでも減り、幸せを感じていただける方々が増えるように、動物を飼うということが普通になってほしいと思います。 特に高齢者の方々に飼っていただけるような社会的システムがこの日本でもできるといいと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございました。

  2013/05/28   gracom
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