ペット医療コラム

【vol.171】新型コロナウイルス感染症とペットたち~今までにわかっていることのあれこれ~

新型コロナウイルス感染症。緊急事態宣言が5月25日終了しましたが、その後も都市部を中心に第2波が訪れています。ペットに関わる情報も毎週のように入ってきます。また動物病院を訪れる飼い主さんからもご質問をいただきます。少し混乱しているようなので、おもに7月7日付けの厚生労働省からの情報をもとに質問形式で少し整理してみました。
Q1 新型コロナウイルスは、飼育しているペットに感染しますか?
これまでに新型コロナウイルスに感染したヒトからイヌ、ネコが感染したと考えられる事例が世界全体で数例報告されています。また、動物園のトラやライオンの感染(飼育員から感染したと推察)事例も報告されています。ただし、新型コロナウイルスは主に発症したヒトからヒトへの飛沫感染や接触感染により感染することが分かっており、ヒトから動物への感染事例はわずかな数に限られています。
Q2新型コロナウイルスに感染したペットではどのような症状がありますか?
これまでのところ、イヌでは明確な症状は確認されていませんが、ネコでは呼吸器症状・消化器症状があったとの報告があります。
Q3新型コロナウイルスが飼育しているペットから人に感染した事例はありますか?
これまでのところ、新型コロナウイルスがペットから人に感染した事例は報告されていません。一方で、ネコは、新型コロナウイルスの感受性が他の動物種よりも高いとの報告があり、実験室内での感染実験では、ネコが他のネコに感染させ得るという結果が報告されています。また、オランダのミンク農場でのミンクの大量感染事例では、新型コロナウイルスに感染したミンクから人へ感染した可能性のある事例が報告されています。
Q4 ペットを飼育する上で注意すべきことはありますか?
新型コロナウイルスのペットへの感染はわずかです。過度に心配されることはないでしょう。普段通り、動物由来感染症の予防のため、動物との過度な接触は控えるとともに、動物に接触する前後で、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行うようにしてください。そして何よりも飼い主さんが新型コロナウイルスに感染しないことが大切です。
Q5 動物病院を受診したいのですが、感染予防対策はなされていますか?
それぞれの病院が、3蜜を避ける様々な工夫をされています。待ち時間対策、車や自宅での待機、受付のシールド、マスク・手袋着用、消毒の徹底、スタッフの健康管理などなど。またこれを機に予約制になった病院もあります。
Q6�犬を飼育していますが、狂犬病のワクチンの集合注射がなくなった地域がありますが、今年はどうすればいいですか?
今年は、新型コロナウイルス感染症の発生又はまん延の影響によるやむを得ない事情により7月以降(遅くとも12月31日まで)に予防注射を行うことも可能です。動物病院ではいつでも接種することが可能です。集合注射は地域によっては時期をずらして実施するところがあります。各獣医師会もしくは動物病院にお問い合わせください。

  2020/08/28   gracom
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