ペット医療コラム

【vol.11】おしっこが出づらい…

今年は例年より雪が降るのが遅いような気がします。しかし冬に多い病気が増えてきます。
それは泌尿器系の病気です。ということで今回は泌尿器系、特に膀胱結石、尿砂粒症のことをお話しします。この病気は、犬も猫もかかります。寒くなり散歩の回数が減ったり、家の中でも運動量が減ったりします。そうなると、どうしても排尿回数が減ってしまい、尿石症になる機会が多くなります。また猫は人と同様、機能不全をおこすと言われています。
尿中に存在する少量の有機物と多量の晶質が結合し結晶化、さらに結石となり症状を出してきます。結石の成分はストラバイトが最も多く、次いでシュウ酸カルシウム、シスチンなどです。
症状は血尿、頻尿、排尿困難、尿の臭いの変化、腹部の不快感、嘔吐などで来院しますが、中には「何日もおしっこしていない」とひどい脱水と尿毒症をおこして、ショック状態で緊急外来で運び込まれる場合もあります。そうなると大変です。まず尿道の閉塞状態を解除します。電解質、尿量などを調べながら何日も点滴をし、回復が遅い場合には腹膜透析も行います。治療の甲斐なく亡くなってしまう場合もあります。 また、大きな結石や閉塞が解除できない場合は、手術も必要になります。
そうならないためには早期発見、または予防が大切になってきます。前述の症状に気が付いたらまずは、できるだけ新鮮な尿を持参して動物病院に行って下さい。
病院では結晶の種類の鑑別や、結石が取れれば分析をしていきます。さまざまな種類の結晶、結石がありますが、処方食で溶ける場合や予防ができる場合があります。以前、良い処方食が無かった頃は、猫の外来の一割はこの関係と言われていました。少なくとも、いつもの食事は尿石症対応の物にしてみてください。
充分な水分と運動不足にならないような対策(猫じゃらしなど、遊びを通した運動等)、考えてみてはいかがでしょうか?

  2004/12/28   gracom
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