ペット医療コラム

【vol.36】温暖化で犬の病気も変化するのかな

初夏を迎え、梅雨のない北海道は清々しい季節になりました。しかしこの時期は外出することが多くなり、犬も猫もダニに咬まれる危険性が高くなります。また山菜取りに行った飼主さんがダニをつけて帰りペットたちに移ることもありますのでくれぐれも気をつけてください。
さて本題です。地球温暖化が何かと話題になっています。気温の上昇による環境の変化、農作物への影響も気になりますが、ペットたちの病気も変化するのではないかと心配しています。本来本州とか暖かい地方の病気だったものが北上して来る可能性があるかもしれません。中でも犬のフィラリア症とレプトスピラ症については注意が必要と考えています。
犬のフィラリア症は感染している犬の血を吸った蚊が媒介する寄生虫病です。心臓や肺動脈に虫が入り循環不全をおこし適切な治療をしないと亡くなってしまいます。感染が成立するにはある一定以上の気温が必要なため、道央より南の地方が汚染地帯であり、多くの犬や最近では猫たちも犠牲になっています。ここオホーツク地方は以前は非汚染地方と言われていました。しかし、10年前の調査で生まれも育ちもオホーツクの犬の約2%感染していることがわかりました。本州から引越してきた感染犬も含めると安心はできません。気温の上昇はそのまま感染力に影響しますので気になっています。
犬のレプトスピラ症は、人にもうつる人畜共通感染症です。感染した動物(家畜やネズミなど)の尿から移る細菌病で肝臓や腎臓がおかされ、粘膜の点状出血や黄疸などをおこします。石狩と胆振地方で数年前に犬の発生が確認されています。網走管内では報告はありませんが実態はどうなんでしょう。ちょっと心配しています。
幸い2つとも予防法がありますのでお近くの動物病院に問い合わせると良いでしょう。
さて北海道の短い夏、今年は何をやって楽しもうかなあ。考えるだけで楽しくなりますね。大抵は実行できなくて秋を迎えることが多いのですが…。

  2007/06/28   gracom
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