ペット医療コラム

【vol.49】人のために働く犬たち~身体障害者補助犬について~

7月に入り,夏真っ盛り。犬たちを連れてキャンプや遠出することも多くなると思います。マダニの予防や道央や道南へ出かける方はフィラリア(蚊からうつる)の予防に心がけておいてくださいよ。そしてあつい車の中に置きざりにしないようにくれぐれもお願いします。
先月,犬たちの運動会が北見市で行われました。人と犬たちが運動を通して楽しみ絆を深めたのではないでしょうか。子どもから高齢者まで参加され家族の一員であるワンちゃんの応援をし,一緒に笑い喜んでいる姿は本当に微笑ましいものです。お疲れさまでした。
2002年に施行された身体障害者補助犬法により,盲導犬のみならず介助犬,聴導犬も補助犬として認められるようになりました。「盲導犬」は目の不自由な人が行きたい時に行きたい場所へ出かけられるように,障害物を避けたり段差や交差点を教えたり,安全に歩くためのお手伝いをしてくれます。また,一緒に電車やバスに乗ったり,お店などに入ることも出来ます。  盲導犬は約1,000頭いますが,希望者は約7,800人いると言われています。「介助犬」は手足が自由に動かせない人の動作介助をし,介助犬を必要とする障害者一人一人に合わせて訓練指導された犬たちです。介助犬は約40頭活躍し,希望者は約15,000人いると言われています。  「聴導犬」は耳の不自由な方や,一人暮らしのお年寄りの方と生活をともにし,耳代わりとなる犬です。チャイムや電話の音,やかんの沸騰音,赤ちゃんの泣き声,非常ベル,クラクションなどを聞き分け,吠えることなく知らせ・誘導します。聴導犬は約20頭おり,希望者は約10,000人いると言われています。
いずれの犬たちも人間が好きで,喜びを持って仕事をし,攻撃的でなく,色々な事に興味を持ちながらも制御できる犬たちです。盲導犬と介助犬は犬種としてラブラドールレトリバーやゴールデンレトリバーが多く,血統の中でも適正と認められる犬はかぎられます。  しかし聴導犬は特定の犬種の必要はなく,純血種でも雑種でも構いません。そして利用者の膝の上やベッドにも上がって危険を伝える必要がありますので,中型犬までの大きさがいいようです。そして中には保健所で処分される運命だった犬が訓練されて聴導犬になった場合もあります。
7月29日(火)午後2時から,北見芸術文化ホールにて「わたしは心を伝える聴導犬」の講演会(参加無料)があります。あらためて人と動物の絆を考える機会になればいいと思います。福祉関係者,動物を飼っている方のみならず一般の方々にも是非とも聞いていただきたいと思います。

  2008/07/28   gracom
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