ペット医療コラム

【vol.65】オシッコちゃんと出てますか?

師走に入り、何かとお忙しい毎日をお過ごしかと思います。まだまだ新型インフルエンザが流行っていますので、気をつけましょうね。 11月末に大阪で第30回動物臨床医学会が開催され、約6千名の参加があり、多くの症例検討会、研究発表会がありました。 また、今までいろいろな呼び方がなされ、臨床の場面で混乱していた病気について、整理され、分類された病気があり、大変勉強になりました。 引き続き新しい情報をキャッチし、動物たちに還元できるようにしたいと思います。
さて今回は「オシッコ」のことを書きます。尿は腎臓でつくられ、尿管を通り、膀胱で一旦貯められ、尿意とともに尿道を通って体外に排泄されます。
この腎臓―尿管―膀胱―尿道のいずれかが破綻、閉塞した場合や尿意を感じなくなったり、随意的に排尿ができなくなった場合、尿の出が悪くなります。
また、腎臓以前(腎臓に入ってくる血液循環)に問題があって、尿のできが悪い場合もあります。 私自身数年前に腰椎麻酔で手術した後、長時間尿が出なくて、夜気分が悪くなり、導尿していただき眠れるようになった経験があります。 いろいろな原因がありますが、オシッコがちゃんと出ない経験をされた方は多いのではないでしょうか。
動物たちもヒトとほとんど同じだと思います。尿の排泄が少ないことを「乏尿」と言いますが、乏尿になる機序から腎前性・腎性・腎後性乏尿の3群に分けられます。 腎前性は腎臓に入ってくる血流圧の低下が原因で、それにはショック・心不全・出血・脱水・腎動脈の閉塞などが含まれます。 腎性は腎臓そのものの障害による尿生成障害で、薬剤や感染症などで発症することが多いです。 腎後性は腎盂、尿管、膀胱、尿道の閉塞などが原因で、尿は生成されていますが、排泄ができない状態です。
閉塞の原因は結石、腫瘍、血餅などですが、腎前性や腎性と違って尿量の著しい低下を認めることが多く、一気に状態が悪化します。 この閉塞状態は早急に改善させなければなりません。閉塞が何所でおきているのかをできるだけ早く決め(尿路造影レントゲン、超音波検査使用)、導尿処置や手術を行ない閉塞を解除します。 結石や腫瘍はできる場所によってはむずかしい部分もあります。 また、破れたりする場合もあり、尿が腹腔や筋肉皮下に漏れる場合もあります。
寒くなってくるこれからの季節は尿の回数が減ってきます。膀胱に尿を貯めておく時間が長くなると結石もできやすくなります。 尿を出やすくするため、犬の散歩回数の維持、室内トイレは清潔にしておくことをお勧めします。 寒くて億劫かも知れませんが、愛犬愛猫家の皆様よろしくお願いしますよ。 北見市獣医師会では12/6午後3時半から市民公開講座「外来生物について」をナップスビルにて行います。ご参加をお願いします。

  2009/12/28   gracom
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