ペット医療コラム

【vol.84】動物病院の玄関をくぐること〜おもてなしと寄り添う気持ちで〜

10月になり秋の気配を感じてます。本格的な収穫の季節ですが、今年は全国的に災害に見舞われた年でした。 大震災、雹、台風、長雨と大変な目にあった方が多かったと思います。 今回は病気のことではなく、動物病院におきている大きな流れの変化を書いてみようと思います。
動物医療に関わる学会は約20ほどあり、専門分野の講習会・セミナーは年間ではおそらく100回以上あります。 徐々に学会の数やセミナーの数も増えて来てます。 ヒトの医学には到底およびませんが、専門分野が分かれてきており、それぞれが深く追求するし、医療技術も高度化してきてます。 これからも、この流れは大きなものとして続くことでしょう。
一方、今年ほど動物たちを連れて来られる飼主さんへの対応をテーマとした講習会・セミナーが行なわれた年はなかったと思います。 1月には「動物病院経営セミナー」が行なわれ、飼主さんに満足していただくためにできることがテーマでした。 6月には「接遇マナー研修会」が行なわれ、従業員満足度と顧客満足度を高めるためには、ハードよりソフトが大切で、あいさつ、言葉遣い、立ち位置、振る舞い、わかりやすい話し方などの内容でした。
7月には「トップリーダー研修」が行なわれました。 仕事は一人では進まず、スタッフと協調し、目的を掲げ、継続的な行動の大切さを学び、何のために仕事をするのかを改めて考えさせられました。 そこで出会った院長たちからも、すばらしい実例を聞きました。 8月には「今後の動物看護師像」について動物看護師自らが発表する機会があり、私も感涙するほどいい話が聞けました。 また、「動物医療現場のコミュニケーション」というセミナーも行われました。 このほかにも、大きな年次大会の中でも接遇や顧客満足度などのセミナーが行われました。
動物病院の玄関をくぐるのは私たちが思う以上にたいへんなのかも知れません。 病気になった動物たちを心配して(ある意味こころ病んで)連れて来られる飼主さん。 家族同様の動物の病気の話を、しゃべれない動物に代わって説明出来るだろうか?受付のスタッフはちゃんと話を聞いてくれるだろうか?動物看護師は私たちの立場になって話をしてくれるだろうか?獣医師はちゃんと話を聞いてくれ、動物の状態を把握してくれ、適切な治療をしてくれるだろうか?ここまでほっといたから怒られるのではないかとか、いろんな不安がありますよね。 われわれスタッフの態度や言葉一つで、飼主さんの病んだ心が癒されるかどうか決まります。 いろいろな状況のなかで動物病院の玄関をくぐってくれた飼主さんに敬意を払い、寄り添う気持ちで仕事をやっていきたいものです。

  2011/10/28   gra_ad
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