【1】小児のCOVID-19症例の95%以上は軽症ですが、クループ症候群、肺炎、けいれん、嘔吐・脱水などの中等症や、心不全をきたしうる小児多系統炎症症候群、脳症および心筋炎が報告されています。国内における 10歳未満、10歳代のCOVID-19による死亡はオミクロン株流行前の2021年末においてはそれぞれ0例、 3例でしたが、オミクロン株流行以降のわずか8ヶ月で20歳未満の死亡は計20例と急増しています。またCOVID-19流行初期は小児感染者の占める割合は低い状態でしたが、2022年1月以降は10歳未満の小児が占める割合は10〜20%程度、10歳代を含めると30%程度となっています。
【2】小児の症状を流行株の違いにより見た場合、オミクロン株流行期(第7波)においては発熱の頻度が高く、熱性けいれん、咽頭痛、嘔吐の頻度が高い。
【3】2歳未満と基礎疾患のある小児において重症化リスクが増大します。
【4】長期化する流行による行動制限が小児に与える直接的、間接的な影響は大きくなっており、さらに、保育施設、学級、学校閉鎖の数が増加しています。
【5】小児への感染は周囲の人から伝播が多くを占めていたが、オミクロン株流行以降、小児同士で感染する機会が増加しています。これまで1割程度であった感染源不明の小児例が第7波では2割以上に、とくに6月以降ではさらに3割を占めるようになっています。
【6】子どもの神経系の合併症に注意 小児学誌「Pediatrics」に掲載された2020年3月からの2年間に 52の小児病院にコロナで入院した子ども1万5137人(2ヶ月〜18歳)を対象とした米国の調査によると、熱性けいれんや脳症などの神経学的合併症の発生率は高い。これらの子どものICU入院率は29.8%、入院中死亡率1.8%であり、 熱性けいれんは3.9%、脳症は2.2%、となっています。報告された最も一般的な神経疾患は、発熱の有無を問わないけいれん発作と脳障害であり、「これらの合併症はほぼ一様に悪い結果を招き、生命を脅かす状態になることがある」と指摘しています。 一般的に子どもが重症化するケースとして、インフルエンザなどの感染症で免疫が過剰に働いて脳に障害をきたす急性脳症・脳炎が知られています。コロナでも脳症を起こすことがあり、しかもその頻度はけっしてまれではないことはまさに衝撃的な報告でした。本邦においても最近の小児死亡例で脳症がみられています。コロナの神経合併症に細心の注意を払う必要があります。