今回は、ステント治療の歴史についてお話しします。
前回、心臓カテーテル検査の歴史でお話ししましたが、造影剤が使われるようになって約80年が経過しました。ステント治療はどのように進化したのでしょうか?
冠動脈治療のはじまり
1977年よりはじまった虚血性心疾患に対する経皮的冠動脈形成術(PCI)はバルーン拡張(POBA)のみであったため、当初は急性冠動脈閉塞による合併症と拡張困難血管が問題でしたが、冠動脈ステントの登場により大きな飛躍を遂げました。1980 年代に冠動脈ステント(bare metal stent… BMS)が臨床応用され始めました。ステントによって解離腔やフラップを抑え込むことで、急性冠閉塞の発生を激減させました。ちなみに日本で臨床使用許可が下りたのは、1993年です。
ステントの歴史
1980年代に登場したステント(BMS)ですが、問題点がまだまだありました。一つは亜急性(数時間から数日以内)の血栓閉塞(約10%)と、半年以内の再狭窄(約25%)でした。BMSのステント内再狭窄を克服するために薬剤溶出性ステント(DES…Drug Eluting Stent)が開発され、1999年に第一世代DESであるCypher(サイファー・ステント)が登場しました。日本では、2004年から使用が開始され、急性の血栓性閉塞や再狭窄が大幅に減りましたが、金属部分がむき出しのまま血管に残るため、抗血小板剤の中止により急性閉塞を起こす問題が起こりました。それを改善し、第2世代DESの登場により、大幅に再狭窄の問題を解決できましたが、それでもいまだに約5%の再狭窄率が残っています。
今後の心臓カテーテル治療の展望
PCIはデバイス(カテーテルやバルーン、ステント)の狭小化と、ステントの進化により、飛躍的に発展しました。今後は極力異物を入れない、植え込まない治療へと進むのではないでしょうか。
次回は、『当院の検査機器』を紹介したいと思います。


