予防医学コラム

胃薬の注意点

お正月の食べ過ぎ、飲み過ぎで胃腸の調子を壊している方もおられると思います。  あなたはその時どう対処しますか?
いつも何かしらの治療で病院、クリニックから薬をもらっている方は、かかりつけのお医者さんから薬を出してもらうことも多いでしょう。  病院に受診するのが面倒だからドラックストアからTVなどで宣伝しているイメージの良さそうな薬を選んで買っている方も多いかと思われます。  果たしてあなたの薬選びはそれでよろしいのでしょうか?  市販薬には前立腺肥大や気管支喘息、リウマチの患者さんが自己判断で飲まない方がいい薬が含まれていることを知っていますか?  OTCの健胃薬の中には制酸作用を狙ってロートエキスと言う成分が含まれているものがあります。このロートエキスが排尿困難を悪化させたり、最悪時は尿閉になっておしっこが出なくなる副作用も考えられます。
また、ガスター10などで有名な胃薬のH2ブロッカー系もOTC薬の場合は白血球減少や血小板減少などの血液障害の副作用で、免疫学的な機序が関与している可能性があり、自己判断で長期に服用した場合そのリスクが上がるので、安全性に重きを置いて「禁忌」になっています。あまり知られていないのですが、医療用の薬でも同じリスクがありますが、医療用のガスターには禁忌の記載がなく気管支喘息やリウマチの他、貧血の人でも医師の判断によって処方することができます。  患者さんが『胃』と言ってくるのは、胃だけじゃなく、膵臓や胆嚢が原因だったりすることもあり、それに「胃が痛い」という訴えは、狭心症の放散痛だったりすることもあるので、病院、クリニックに受診勧奨する必要がないかどうかについても、しっかりと患者さんとお話し確認することが重要です。
そのために薬局には薬剤師が、ドラックストアには薬剤師か登録販売者と言う薬の資格を持っているものがそれぞれの店舗に常駐しています。  OTC薬を買う場合は、胃薬でも自己判断ではなくお薬手帳を持って行って「今この薬を飲んでいるのだけど、胃の調子がこんな感じなのでどの薬がいいか?」と薬の専門家に聞いてみた方が重大な副作用を回避することが可能かと思われます。
たかが胃薬だからではなく、されど胃薬です。

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