予防医学コラム

肺炎について

今回のコラムでは、肺炎について書かせて頂こうと思います。肺炎は以下のように分類され、それぞれ以下のような特徴があります。
①細菌性肺炎
肺炎といわれると、これが皆さんのイメージされる肺炎だと思います。中高年に多く、基礎疾患があったり、無理をして疲れて免疫力が低下していると、細菌が肺に感染することで炎症を起こします。また高齢者の方で飲み込む機能が低下していると、口の中にいる細菌が食事や唾液と共に気管に入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こすこともよくみられます。肺に炎症が起こると、酸素の取り込みが十分できずに呼吸が苦しくなります。また肺に感染した細菌と身体が戦うために、発熱や咳、痰が出るようになります。細菌に対しては抗生物質が効きますので、内服や点滴で状況に応じて投与し治療を行います。また酸素が不足している状態では酸素投与を行うこともあります。誤嚥性肺炎は繰り返すことが多く、繰り返せば繰り返すほど抗生物質が効きにくい菌だけが残り、治療が段々困難となっていきますので、飲み込む力が低下している高齢者の方では、日頃より口腔ケアを行うことが重要です。また重症化しやすい肺炎球菌による肺炎を、5年ほど予防するためのワクチンもあります。
②ウイルス性肺炎
その名の通りウイルスが感染して起こる肺炎です。細菌性肺炎に比べると少ないですが、何かのウイルスが流行していると、小児や比較的若い人で起こりやすい肺炎です。
イメージしやすいのが、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスによる肺炎だと思います。ウイルスはたくさんの種類がいて、そのうちの数種類にだけ抗ウイルス薬があります。ウイルス性肺炎が疑われた場合には、原因のウイルスを突き止めて、必要時には抗ウイルス薬の投与を行います。ウイルス性肺炎は細菌性肺炎と合併することもよくあり、その際には抗生物質を投与することもあります。症状は①と同様です。
③間質性肺炎
①と②は主に肺胞と呼ばれる肺の場所に炎症を起こすのに対して、③はその肺胞と肺胞の間にある間質という所に炎症が起こる肺炎です。原因は膠原病やアスベスト、放射線治療、薬剤性、カビの感染などがありますが,原因不明というものもあります。急速に重症化する場合には、免疫抑制剤の投与などが必要となることもあります。
いずれの肺炎も、糖尿病のコントロールが悪いなどの免疫力が落ちている状態や、喫煙による肺気腫などがある状態だと重症化する可能性が高いため、糖尿病のコントロールを良くする、禁煙をするなどの日頃からの留意が必要といえます。

 

本間先生(内科)   2025/08/25   gracom
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