予防医学コラム

脳梗塞について

 これまで高血圧や糖尿病、脂質異常症などについてコラムで書きましたので、これらの疾患があるとなりやすくなる脳梗塞について、今回はお話ししたいと思います。
脳梗塞は、ラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、その他の原因による脳梗塞に分類されます。これらの脳梗塞の危険因子としては、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満、心房細動、喫煙、飲酒などが挙げられますが、それぞれの脳梗塞によってこれらの危険因子の関わりの強さは異なっています。
ラクナ梗塞は、脳の奥深くの細い血管が動脈硬化の影響で閉塞して起こる脳梗塞で、病変が小さいことが多く、脳梗塞になっていることに気付かない方も多くみられます。しかし病変が小さくても脳梗塞になる脳の場所によっては、半身麻痺や嚥下障害などの重篤な後遺症を残して、日々リハビリに苦しむ方は少なくありません。この脳梗塞では、高血圧が重要な危険因子であるため、高血圧のコントロールが重要といえます。
アテローム血管性脳梗塞は、比較的太めの血管内にプラークというゴミのようなものが沈着することで動脈硬化を引き起こして起こる脳梗塞で、そのプラークができやすくなる原因が、高血圧と脂質異常症、糖尿病です。これらは一つだけでも十分原因となりますが、2つや3つあるとさらにリスクは高まります。そのためこれら3つの生活習慣病をきちんとコントロールすることが重要です。
心原性脳塞栓症は、心臓に形成された血栓が脳に飛んで広範囲に脳梗塞を起こします。その原因疾患で最も多いのが非弁膜症性心房細動です。非弁膜症性心房細動は、普段の心電図ではあまり気付かれない発作性のものと、普段の心電図でも見られる慢性のものがあります。いずれも心臓に血栓を形成する可能性があるため、循環器内科で年齢やリスクを評価した上で、抗凝固薬という薬剤で血栓をできにくくする治療や、アブレーションというカテーテルで心房細動を起こしにくくする治療を行うこともあります。
それぞれの脳梗塞の危険因子のお話をしましたが、まず重要なことは絶対に喫煙をしないこと、お酒を飲みすぎないこと、肥満を解消するということです。それを前提とした上で、それぞれの脳梗塞の危険因子をコントロールすることが必要です。

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本間先生(内科)   2025/06/23   gracom
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