予防医学コラム

弁膜症の検査と治療

今回は、弁膜症の検査と治療についてお話しします。
4つの弁で特に自覚症状を感じやすいのが大動脈弁と僧帽弁で、なかでも近年高齢化社会に伴い大動脈弁狭窄症と僧帽弁閉鎖不全症の患者数は増加の一途をたどっています。
弁膜症の検査
心臓弁膜症は、診察時の聴診による心雑音や、心電図異常がきっかけで指摘をされることが多い病気ですが、正確な診断やその重症度の評価には、心臓超音波検査(心エコー検査)が必要になります。
心臓超音波検査は、胸に超音波ゼリーを付けて、肋骨の隙間から心臓の状態を観察します。超音波検査の良いところは、痛みを伴わず、放射線による被ばくもなく検査ができることです。また、詳細な状態を描出するために胃カメラと似たような形状の経食道心エコーも必要な場合もあります。図のように血流がカラー表示され、流れがはっきりわかります。
外科手術
●弁形成術…自身の弁を残しながら、逆流弁を「修理」する手術法
●弁置換術…壊れた弁を人工弁に取り換える手術(生体弁か機械弁の2種類が使用)
●ダビンチロボットを使用した低侵襲手術「MICS手術」
カテーテル手術
大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI/TAVR)
大動脈弁狭窄症の患者様に対して、2013年から国内で認可された治療法です。通常、大腿動脈を使い治療を行いますが、血管が細いなどの理由で使用できない場合は他のアプローチを選択可能となってきました。人工弁(生体弁)機能不全へのTAVI、透析患者へのTAVIも保険適応となり、あらゆる疾患の患者さまにもより低侵襲で最適な治療が可能です。
僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル的僧帽弁修復術(マイトラクリップMitraClip) 経皮的僧帽弁クリップ術は、外科手術に比べて体への負担が少ないことが特徴で、従来の心臓手術のように、胸骨切開、心臓を止める必要がありません。足の付け根の静脈に挿入したカテーテルから、長さ約15㎜のクリップを心臓に到達させて、僧帽弁をクリップで掴み、逆流を軽減させる治療法です。
このように低侵襲外科手術やカテーテル治療の進歩はめざましいです。治療に不安のある方はいつでも御相談ください。
次回は、『寒冷地ならではの循環器疾患』についてお話ししたいと思います。

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