予防医学コラム

医薬品不足について

どうして『薬不足』は解消されないのか?
3年以上も続いている薬の供給不安。
せき止めや高血圧、抗生物質など、手に入りづらい医薬品はおよそ医療機関で処方される薬の2割以上に上っています。
きっかけは2020年12月に発覚した、ジェネリック=後発医薬品のメーカーの品質不正問題ですが、なぜ4年以上解消されず、薬の供給が追いつかないのかです。
①人手の確保の難しさ
工場では、品質管理のために、専門知識のある作業員が計画に沿った細かい品質のチェックを行う必要があります。効率化したくても、こうした手順は省くことができません。しかし、人手不足の中で、専門知識のある人材を育成するのは半年から1年かかり、なかなかすぐに増産に向けた人手の確保ができないといいます。
②多目的生産
増産を慎重に進めるには別の理由もあります。
ある工場では「去たん薬」以外にも89品目の薬を作っています。「去たん薬」を増産しようとすると、ほかの薬の生産量を減らさざるをえません。看板商品など、利益率が高いほかの薬の納期が間に合わなくなるおそれが出てきます。すでに、この工場では去たん薬の増産のために7品目のかりゅう剤の製造を止めていて、売り上げに大きな影響が出ているということです。
③設備投資できない低い利益率
設備投資をして製造ラインを増やすことも増産のための選択肢の1つですが、それも難しいといいます。
その理由は、国が定める薬の価格である「薬価」が低いことにあるとしています。このため去たん薬は作っても利益が上がりにくいというのです。さらに、原材料の高騰も追い打ちをかけているといいます。利益率の低い薬であるが故に、設備投資に回すほどの余裕がないというのです。
ほんの一部の理由ですが、医療業界も製薬業界も非常に困っているのが現状です。

原口先生コラム

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