予防医学コラム

お気づきでしょうか?北見市内の診療所の減少

市民の皆さん、北見市内の診療所が最近どんどん減ってきているのをお気づきでしょうか?以前から北見市内の診療所が減ってくることは、ある程度予想はされていましたが、最近は予想以上に診療所の閉院が続いています。様々な要因はあると思いますが、その一因に開業医の高齢化があると思われます。以前からコラムで書いておりますが、この北網地域は、人口10万人当たりの医師数は150人くらいで、全国平均よりやや高い札幌地域の300人に比べると約半分の医師数です。そのため高齢化率も加味して単純に考えると、この地域の医師は札幌地域の医師よりも2倍以上の患者さんを診療しなくてはならないということになり、負担が大きいと考えられます。私ももうすぐ50歳になる開業医の一人ですが、30~40歳代の頃と比べると、年々外来診療や訪問診療が辛くなってきています。ましてや市内の開業医のほとんどは私よりも上ですし、うちの父と同世代の医師達も頑張って診療をされています。
開業医にもここ5年くらいで様々な医療情勢の変化がありました。診療報酬が年々下がり同じ診療をしていても収入が減る一方で、様々な医療の電子化などで設備投資が必要となっています。さらに新型コロナの影響で来院患者数が減少し、感染対策のために様々な設備投資でさらに経営が厳しさを増しています。そのような状況であり、これ以上無理をすると体調を崩してしまうかもしれない、経営を維持できないと従業員の雇用を守れないかもしれないという不安な中で、北見市内の各開業医は頑張っております。健康で医療機関にほとんど受診されない市民の方は、大きな病院だけあれば病気になった時に何とかなるから大丈夫と考えているかもしれませんが、開業医も様々な業務を行っています。通常の一般診療の他に、市内の幼稚園や小・中・高の学校医による各学校健診や感染症流行による閉鎖の判断、各職場の健康診断や産業医活動、介護保険の新規申請や更新申請に必要な主治医意見書の作成や認定審査会への出席、各ワクチン接種による感染症予防、がん健診や特定健診、各種健診で異常を指摘された方の二次検診、北見市や保健所との様々な地域の調整会議なども行っております。これらが行われなければ、様々な社会活動の維持が難しくなってきます。このような業務を担う開業医も減ってきていることから、危機感を抱いています。この地域の社会活動の維持のためにも、この地域全体で新規の開業医を増やす取り組みを早急に行う必要があると思われます。

honma2501

本間先生(内科)   2024/12/27   M I
≪ 網膜裂孔・網膜剥離について  |