小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、同社は28日、取材に対し、報告をしていなかった理由について「確認手続きが完了していなかった。詳細な確認を(した後で報告することを)重視していた」と釈明しました。
死者に関しては、これまでは摂取との関連性が疑われる腎関連疾患と診断されたケースに限っていた報告の対象を、がんや肺炎など他の疾患の診断などにも広げたという事です。
同社はこの日、記者会見を開かなかった。理由については「伝えたい内容が多岐にわたり、正確かつ同時に知らせるには、文書による発表が適切だと判断した」と回答しました。
小林製薬は、この問題に関する補償対応本部を新設することも発表しました。
【全てが遅い】
健康被害が報告された同社のサプリを2年間摂取していたという横浜市の会社員男性(64)は「関連が疑われる死者が多くいるのに公表してこなかったのは不誠実で、大手企業として問題だ」と話しました。3月下旬に通販購入分の返金手続きを行ったが、返金されていないといい、「全てが遅い」とあきれた様子だったそうです。
太田肇・同志社大教授(組織論)の話 では「死亡事例の公表の遅れは、原因究明の遅れに直結する。小林製薬は少しでもリスクを把握した段階で報告すべきだった。最初の健康被害を把握してから公表まで2か月余りかかった初動対応に続き、情報発信への消極的な姿勢が改善されておらず、重大な社会問題と認識できているか疑わしい。」と言っています。
【台湾では30人が損賠提訴へ】
台湾紙・自由時報によると、小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」成分入りのサプリメントの健康被害問題で、台湾消費者保護協会は27日、摂取した後に体調不良を訴えた約30人が同社の子会社「台湾小林製薬」を相手取って集団訴訟を起こし損害賠償を求めると明らかにしました。
報道によると、台湾当局は6月14日までに60件以上の被害を確認していて、同協会は、被害者に訴訟への参加を呼びかけているようです。