小林製薬の「紅麹(べにこうじ )」成分入りサプリメントを巡る健康被害問題で、同社が遺族からの相談を受け、新たに76人の死者について摂取との因果関係を調査していることがわかった。厚生労働省が6月28日、明らかにした。同社は厚労省が問い合わせるまでこうした事実を報告していなかった。
【非常に悲しい】
「報告がなかったことは極めて遺憾。もう小林製薬だけに任せておけない。厚生労働省が小林製薬に調査計画を立てさせ、 進捗状況も管理する」。この日、報道陣の取材に応じた武見厚労相は、語気を強めた。
今回の健康被害を巡っては、小林製薬が1月に「紅麹コレステヘルプ」などのサプリによる健康被害の情報を把握してから、国や自治体に報告するまで約2か月かかったことが問題視された。
このサプリは機能性表示食品で、問題を受け、政府は5月末、同食品の製造・販売事業者に医師の診断がある健康被害情報を把握した場合、因果関係にかかわらず、速やかな報告を義務づける再発防止策をとりまとめた経緯がある。
今回、76人の死亡事例の相談が寄せられていることは、厚労省が13日に同社に問い合わせたことがきっかけで明らかになった。厚労省の担当者は「毎日やり取りしており、会社の対応を信頼していた。非常に悲しい」と話した。
【記者会見開かず】
小林製薬は、問題発覚後の3月29日の記者会見で「我々がやるべきことは、被害を受けた患者や不安を感じている方に情報を提供することだ」などと述べ、患者らの不安 払拭のために、情報開示を進めていく方針を示していた。
同社に寄せられた相談を基に、死者数や入院者数、医療機関の受診者数を厚労省に報告していた。だが、3月29日に関連が疑われる死者数を5人と発表して以降、2か月余りにわたって、この5人以外の死者に関する情報は、一切報告していなかった。