予防医学コラム

眼科の検査について

眼科を受診すると、どんな検査を受けるイメージがありますか?まず、機械に顔をつけ、気球の絵を覗き込むと、ピピっと測られるのが「屈折検査」です。近視や遠視、乱視の状態などをチェックします。それを元に「(矯正)視力検査」を行なっていきます。また、プシュッと空気が眼に当たるのは、「眼圧検査」といい、眼の硬さを測っています。そして、診察室では「細隙灯(さいげきとう)顕微鏡」という機械で、眼科医の診察を受けたりします。ここでは角膜や結膜、まぶたを拡大して見ることができます。表面の涙液の状態、傷などを見る場合は、「生体染色」といって、黄色い蛍光剤で色をつけたりもします。
【眼底検査】
眼の奥までをしっかりと診察するには、瞳孔を開く必要があります。この場合、「散瞳薬(さんどうやく)」という目薬を使用します。その効果は20〜30分で出現し、数時間続きます。散瞳薬を使用した際は、4〜5時間は運転をお控え頂いております。瞳孔を開くことによって、水晶体全体が見えるようになり、白内障の程度を確認することができます。白内障手術を検討する際には、必須の検査です。
そして、眼の奥の状態を診察することを「眼底検査」といいます。眼底とは、主に網膜のことを指し、上述の細隙灯顕微鏡や倒像鏡などで眼科医が診察します。この検査によって、様々な眼の病気をチェックすることができます。例えば、網膜に出血などを起こす糖尿病網膜症、網膜の周辺部に穴(裂孔)が開いて、網膜が剥がれてくる網膜剥離、網膜の中心部である黄斑が傷んでしまう黄斑変性、視神経乳頭が痩せて神経が薄くなっている緑内障などを判断することができます。これらは重篤になるまで、自覚症状に乏しい場合が多く、眼底検査をしなくては発見できないこともあります。日本眼科医会では40歳を過ぎたら、一度は眼底検査をと推奨しています。なお、眼底の機能を見る検査としては、歪みの自覚をみる「アムスラー/Mチャート検査」や、見えている範囲を把握する「視野検査」などがあります。
【眼底画像検査】
眼底の状態を記録に残すためには、「眼底カメラ」が必要となります。最近では「広角眼底撮影」という方法で、比較的周辺部まで眼底画像を記録できる装置も用いられております。一方で、直接見るだけでなく、組織の性質を見たり、血流を見たりする画像検査も重要です。造影剤を腕の静脈から注射して、眼の血管や組織の状態を把握する「蛍光眼底造影検査」は現在でも広く用いられています。ただし、造影剤を注射するために、頻度は極めて稀ではありますが、アレルギーによる重篤な症状が起こる懸念があり、全身状態が不良の方、妊婦さんにも使用できないという問題があります。そこで、造影剤を使わなくても、組織の断面をスキャンして詳細に観察したり、血流の状態がわかる検査、「光干渉断層計(OCT)」や「光干渉断層血管撮影(OCTA)」といった技術が、この20年で飛躍的に進歩してきました。次回コラムではこれらについて詳細を解説させて頂きます。

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