予防医学コラム

能登半島地震被災地の薬剤師の対応

2024年1月5日、日本保険薬局協会(NPhA)は1日に発生した「令和6年能登半島地震」による会員企業の被害状況を公表し、5日11時現在、被害を受けた薬局は全体で129軒(石川県70軒、新潟県29軒、富山県27軒、福井県2軒、三重県1軒)。このうち、開局できていない薬局は13軒だということです。
129軒の被害の状況としては、医薬品の落下、津波による停電、薬品等の散乱、分包機の故障、浸水、床や駐車場の亀裂 液状化による駐車場陥没、外壁破損、店内の壁の崩壊 店舗外壁タイル落下、調剤室壁の裂け目 、天井が抜けたと様々な被害が報告されており、石川県の薬局では、40代後半の男性薬剤師1人重症が報告されています。
NPhAは、1月2日に災害対策本部を立ち上げ、会員企業に対して、電話やメールで今回の被害状況を確認し、4日には、災害対策委員会の委員が石川県に入り、引き続き情報収集を行っています。今後、現地の要望等をヒアリングし、対応していく方針だとのことです。
また、能登半島地震を受けて7日には、私も実際に見せてもらったことのある、岐阜市の岐阜薬科大が所有する「モバイルファーマシー(災害対策医薬品供給車両)」が石川県珠洲市に到着し、岐阜県薬剤師会が活用を始めました。石川県薬剤師会の要請で日本薬剤師会が調整し岐阜県の車両は第1陣として被災地の支援に当たると言うことで、岐阜の3人と石川の2人によるチームが金沢市から出発しました。
車両内には、病院や診療所などに見られる薬局機能が備わっていて、車内で薬剤師が立って作業できる高さも確保され、移動しながら作業ができます。薬剤師3人が寝泊まりでき、ソーラー発電設備があり、飲料水や食料も保管できるようになっています。
薬剤師の健康維持のため、被災地でもなるべく宿泊施設を利用するように努めるが、被害が甚大な地域では施設に宿泊できない場合も多く、この車両では外部の機能を使わず過ごせるため、被災地に負担をかけずに活動することができます。
原則、医師がいないと薬の処方はできないため、被災地では医師に帯同する形で避難所などを巡回し、糖尿病など持病がある被災者の薬が切れないように活動しています。
今後は第2陣として9日から三重県の薬剤師が石川県輪島市に入る予定で、順次宮城県や広島県などの薬剤師が応援に入る見通しです。チームができるだけ効率的に円滑に被災地で活動できるよう石川県薬剤師会の先遣隊が、道路状況や薬剤の必要量などを調べて同会の中森慶滋会長は「今後も状況に合わせてきめ細かい対応をしていきたい」と話しています。

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