予防医学コラム

医薬品不足の暗示

 前にもお話した様に、諸事情により現在医薬品不足は深刻となっていて、全国の薬局で昨年でさえ薬不足が始まっていたのに、それに比べ今年は更に86%の薬不足で薬がない状態が続いています。そのため各薬局や医療機関の裏側では毎日その対処に追われる業務が続いています。
例えば、無い薬に対してはメーカーの変更や高くても先発品の使用、剤型の加工や調整などを薬局で行い、患者さんやお医者さんに説明し投薬させてもらっています。  メーカーも薬の卸さんも販売を伸ばしたいのがやまやまですが、新しいラインを作って実働するために厚生労働省の許可が出るまで早くても2~3か月かかりすぐには作れません。現場では3年前から薬不足になることは予測していましたが、現実にはそうなってからでないと国は動きません。足りない心臓の薬やこの時期に増える風邪に使う咳止めや抗生物質、今爆発的に増えているインフルエンザの薬なども一部足りず、小児用のタミフルドライシロップは薬が無いため大人のカプセル剤を加工して作るため、苦みが強く大人でもなかなか飲めない様で服薬するためにいろいろ工夫しているが、薬を飲めない子もいるようです。
厚生労働省では不足して手に入らない薬の増産をメーカーに依頼してる様ですが、実際先発メーカーでも1.3倍程度しか増産していなくまだまだ薬も足りないし、現状増産分もまだ届かない状態で患者さんやお医者さんには薬を我慢してもらったり苦労をおかけしている状態のようです。  またいつもより投与日数を短くするようなその場しのぎの通達も出ています。
困るのは現場にいる患者さんや医療関係者で、主役不在で物事が押し進んでる感がいなめないと思うのは私だけでしょうか?このままだと薬価もまた下げられてせっかく増産を目指しても、さらに医薬品不足が続くのではないかと不安を感じます。国会議員の懐を肥やすのではなく、必要な人が必要な医療を受けられるようにお金を使って欲しいと思う今日この頃です。段々と地方の薬局、医療機関は人口減少とともに淘汰され、閉局や閉院などが増えてきていることに皆さんも薄々感づいているかもしれません。このままだと、病院のかかりたければ都会に行けばいい的な発想で地方の人口減少はますます進むでしょう。
皆さん地元でかかりたい病院はあるかと思いまし、このままだと医療難民が増える可能性があります。
この医薬品不足とそれに対しての国の対応が、これからの医療の進む道の先行きへの暗示ではないことを願いたいと思います。

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