今回のテーマは、眼科で最も有名とも言える病気「白内障(はくないしょう)」について、その病状をまず解説していきます。眼の前の方(前眼部)には、光が目に入る量を調節する「虹彩」の後に「水晶体(すいしょうたい)」があります。水晶体は本来透明であり、厚みを変化させてピントを合わせるレンズです。この水晶体が濁った状態のことを白内障といいます。
●原因
白内障の主な原因は加齢によるもので、早い人では40歳代から、80歳代では100%の人が白内障になっています。白内障はもちろん病気ではありますが、水晶体の代謝障害による一種の「老化現象」とも言えます。その他の原因としては、生まれつき水晶体が濁っている先天性のもの、外傷をきっかけに濁ったもの、アトピー性皮膚炎や糖尿病などによる全身疾患に合併するもの、薬剤や放射線によるもの、そして眼の他の病気(炎症)に続いて起こるものなどがあります。
●症状
光の通りみちである水晶体が濁ってくると、その濁りで光が散乱してしまうため、まぶしく感じたり、かすんで見えるようになってきます。濁りがさらに強くなったり、水晶体が硬くなってくると、視力も低下していきます。この状態では、光が眼の奥に届きにくいので、どんなに高級なメガネで矯正しても、視力が出なくなってしまいます(メガネでは解決しないということです!)。
●様々な病状の白内障
瞳孔を開く散瞳薬を入れて検査すると、水晶体の濁り具合がよくわかります。白内障と一口に言っても、その程度は様々です。一般的には水晶体の周辺部から濁ってくるのですが、ときとして初期から光の通る中央付近に濁りが生じることがあり、初期でも視力が下がってしまうことがあります。またすでに濁った水晶体を何年も放置していると、水晶体は石のように硬くなって「成熟白内障」という重症な状態になってしまうこともあります。一方、水晶体をぐるっと一周支えている「チン小帯」が弱かったり、ちぎれている人もいて、そのような眼は水晶体の位置がずれて「水晶体偏位・脱臼」となってしまいます。このような硬い「成熟白内障」や支えが弱い「水晶体偏位・脱臼」は、言わば「難症例の白内障」であり、治療に高度な技術を要する状態と言えます(オホーツク眼科では難症例でも治療ができます!)。
次回は、この白内障の治療、つまり白内障手術について、詳しく解説していきたいと思います!