2023年5月20日~21日に那覇市で開催されたジュネリック医薬品等の学会で、厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報企画課課長の安藤公一氏が、医薬品の安定供給ついて講演し「現在の医薬品供給不足の問題の責任の一端は厚労省にある。対策をしっかり講じて、この状況を改善する責任がある」と強調されていた。 後発医薬品については、数値目標を定めて使用促進を進めてきて一定の政策効果があったと評価しつつ「政策を進めるに当たり、実際にそれぞれの製造現場がどうなっているのか、製造実態について考慮することなく進めてきてしまった。使用促進は拙速だった」と述べました。また、医薬品製造ついては、各都道府県で品質上問題がないか薬事監視等を実施しているが、「各都道府県での監視体制が必ずしも十分ではなく、各都道府県の監視体制を精査すべき立場である厚労省において、各都道府県と十分に連携ができていなかった」ともおっしゃっていた。 安藤氏は、「医薬品供給不足の問題の責任の一端は、厚労省にあると思っている。しっかり反省すべきであり、対策をしっかり講じて、状況をとにかく改善する責任がある」と強調された。その上で同氏は、現在起きている供給問題について主な背景として、
(1)後発品の産業構造上の課題については、「多くの企業では多品目の製造を、複雑でタイトな製造計画に基づいて行っているため、どこかの企業で供給停止が起こった時に、その他の企業での増産が非常に難しい状況だ。結果、少量多品目は非効率な生産体制だった。」
(2)「薬価基準制度上の課題については、現行、薬価改定の度に薬価が引き下がる仕組みとなっていて薬価を下支えするための仕組みは設けられているが、必ずしも十分なものではなく、結果、製造コストは度外視され作れば作るほど不採算になり経営を圧迫している現状がある。」
(3)「原薬原材料の調達から患者に医薬品が渡るまでの一連のサプライチェーンには様々なリスクがあり、リスクが顕在化してサプライチェーンが断絶することで医薬品の供給不安につながっているケースもある。リスクが顕在化した際には増産を要請することになる、現状や企業の供給状況を厚労省がきちんと把握ができてない。」と述べていました。
「これらの問題については、現在、後発品は約1万1000品目ある後発品の適正化について医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会で議論されている。検討会の中では、具体的な実行に移すための詳細な議論は十分にできていない。そのため、後発品産業のあるべき姿やその実現のために、別の会議体を設置して短期集中で議論を進めたい」と安藤氏は述べて後発品数の適正化を推進ため国がしっかり支援をしていくとの考えを示しました。 しかし、机上の空論で毎年一律に薬価を下げることなどでこの様な事態を招き、また現在進行中のマイナンバー保険証も同様に現場の準備に関係なく実施を行う日程のみ先行で発表されて進んでおり、現在の医薬品不足より更に大きな問題が起きないか心配されるところです。