予防医学コラム

薬は正しく使いましょう!

現在、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息には吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)が用いられます。 さて、閉塞隅角緑内障の患者さんでは、抗コリン作用によって隅角閉塞を悪化させる可能性があるとして、LAMAは基本的に禁忌とされています。 特に、「目への直接噴霧は避けなければならない」というのは、常識ですが、お医者さんに聞いてみると目にかかってしまい緑内障発作を起こした人を、いまだかつて診たことがないというのです。さらに眼科では緑内障発作を起こした症例で「直前にLAMAを目に噴霧した人は経験したことがない」という事でした。 また、幾つかの製薬会社に聞いてみても、そのような事例はないというのです。 唯一あった目にかかったと言う症例報告ではこのケースレポートは、右眼の激しい痛みと視力の低下を訴えた46歳の男性で、COPDに対してスピリーバハンディヘラーを用いていました。ソフトミストのレスピマット製剤ではなく、カプセル充填のハンディヘラーだったのです。 吸入器にカプセルを充填して針で穴を開けて吸入するわけですから、そもそも目に噴霧する余地がないのですが、どうやら「中に何が入っているのかな~」とカプセルを分解したところ、中の粉末が目にかかってしまったそうなのです。 眼球の表面に一時的に薬剤のミストがかかるよりも、そもそも吸入薬として抗コリン薬を常用している方が医学的な影響は大きいようにも考えられます。カプセルを分解して目にかけてしまうなんてことはさておき、吸入デバイスからのミストはそこまで心配しなくてもよさそうに思いますが、それでも目にかからないようにしましょう。 このケースのほかにも点眼薬や点鼻薬の穴が小さく一度にたくさんの薬が出れば何回も使わなくていいと思いせっかちの人が、穴を針などで大きくして一度にたくさんの薬が出る様にしたりなど勝手に調節する例などが昔はありましたが、あの穴から出る点眼量や噴霧量は一定量出る様に作られており、大量に使うことによって副作用の原因になることなどが考えられます。 今時こんな方はいないと思いますが、飲み薬でも効かないから倍量飲むとか、朝飲み忘れたから次回は朝の分の薬も一緒に倍飲むなどの行為は、下手をすると命がけの挑戦になるので止めていただいてキチンと決められた量の薬を正しく守って使用してください。

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