予防医学コラム

マダニ媒介感染症

マダニは野外に生息し、ヒトを含む動物から吸血するダニです。食品や寝具などの家庭内で発生するダニとは異なります。北海道では、ヒトから吸血するのは主にヤマトマダニとシュルツェマダニの2種類です。  植物の葉の先端などで吸血源となる動物が通りがかるのを待ち伏せて乗り移り吸血します。両者とも雪解け直後から発生し、刺症例は4月から9月に多くなります。
マダニ媒介感染症とは、病原体を有するマダニに咬まれることによって起こる感染症です。北海道ではライム病や回帰熱などが多く発生し、ダニ媒介脳炎では死亡例も発生しています。近年でもマダニが媒介する新種のウイルスが発見されており、これらの大部分はヒトや動物に対する病原性が未知です。北海道では近年新たに、発熱や筋肉痛を主訴とするエゾウイルスの感染が確認されています。
予防のためのワクチンなどはなく、発症すると対症療法しかないこともあり、適切な治療が行われなければ後遺症や生命の危険を伴うこともあります。
マダニに咬まれないことが最大の予防策になります。野山に行くときはできるだけ肌の露出を少なくし、虫除けスプレーを使いましょう。「ディート」成分を含むものが有効です。
マダニは体に乗り移った後、すぐには咬みつかずに数時間かけて良い場所を探し続けます。帰宅後すぐに入浴し肌についていないか確認することで、吸血する前のダニを除去することができます。脇の下、足の付け根、膝の裏、頭皮などがポイントです。衣服はすぐに洗濯します。
皮膚に食い込んでいる場合は、無理に摘んで取り除くとダニの一部が皮膚内に残ってしまったり、病原菌を体内に押し戻す可能性があります。医療機関を受診し、数週間は体調の変化に注意しましょう。

 

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