予防医学コラム

子どもとコロナ その⑯ 生後6ヶ月以上5歳未満の 新型コロナウイルスワクチン

生後6ヶ月〜5歳未満の小児への新型コロナウイルスワクチンは、令和4年12月から小児医療機関での接種が開始されました。これまでの5〜17歳の小児におけるワクチンの有益性を考慮したうえで、メリット(発症、重症化予防)がデメリット(副反応)を上回ると判断、小児科学会は、5〜11歳と同様にワクチン接種を「努力義務(接種を受けるように務めなければならない)」とし、その考え方、知見を示しています。

(感染状況とワクチンについて)
●小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった小児の重症例と死亡例が急増しています。
●成人と比較して小児の呼吸不全例は比較的まれですが、オミクロン株流行以降は小児に特有な疾患であるクループ症候群、熱性けいれんを合併する児が増加し、脳症、心筋炎などの重症例も報告されています。
●生後6ヶ月〜5歳未満の小児におけるワクチンの予防効果は、生後6ヶ月〜1歳児で75・8%、2〜4歳児で71・8%。これまでの知見から重症化予防効果は発症予防効果をさらに上回ることが期待されます。
●ワクチンの安全性については、副反応は5〜11歳のワクチンと同等もしくは軽微であり、米国における調査でも重篤な有害事象はまれとされています。
使用されるワクチンは、すべてファイザー社製。その含有量はmRNA:3㎍/回。  
12歳以上で使用されるワクチンの10分の1、5〜11歳のワクチン10分の3の含有量となっています。  
接種回数は3回、2回目は3週後、3回目は2回接種後8週後以降となっています。

(接種に対する考え方)  
1、子どもを守るためにはまず周囲の大人(とくに子どもに関わる業務従事者)が接種することが大切。  
2、基礎疾患のある児への接種で、感染の重症化予防が期待される。接種の際は主治医とよく相談する。  
3、健康な子どもへの接種も意義があるが、本人と療育者の理解、接種に関する細やかな対応が必要。  
4、接種の際は丁寧な診察が必要。  
の新型コロナウイルス感染の多く(95%)が、軽症で経過します。しかし、2歳未満(0〜1歳)と基礎疾患がある小児においては重症化リスクが増大することが危惧されています。子どもを守るため、周囲の人を守るため、接種することを推奨しますが、かかりつけ医とよく相談されて判断されるとよいでしょう。

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