予防医学コラム

エナジードリンクとその問題点について2

カフェインはアルコールと一緒に摂取することで、カフェインの中枢神経興奮作用とアルコールの作用によって、相乗的に快楽を生む可能性があります。この点に関して、アメリカの大学生にウォッカとソーダあるいはエナジードリンクでカクテルを作り、果汁で味を分からなくして、両者の酩酊度とアルコールの要求度を調べた研究があり、「エナジードリンク+ウォッカ」を摂取したグループは、試験後にアルコールの要求度が高かったと報告されているそうです。 ただし、これには追加の研究もあり、実はアルコールとカフェインのコンビネーションには危険だという証拠はないという反論もあります。 実際に、エナジードリンク355㎖を8時間の絶食の後、50人の若年健康成人に飲ませたところ、多少の頻脈が見られるのみで、不整脈などの誘発はなかったとされています。 米国では、エナジードリンクの飲用が原因で死亡したという訴訟がかなり起きているようですが、訴訟の内容を見ると摂取している量が尋常ではない例や摂取した量がはっきりしない死亡例も多く見られます。 カフェインの薬理作用やいくつかの試験を総合して考えると、大量摂取しない限り、エナジードリンクを飲んだだけで中毒死するとは考えにくく、別の要因が関与している可能性が大きいかと思われます。 なお、エナジードリンクは「倦怠感に効く」といわれていますが、実際にはアスリートの筋肉を電気生理学的に調べた試験では、筋肉の疲労が有意に改善するという結果は得られませんでした。 エナジードリンクは、清涼飲料水に分類されており、「滋養強壮」や「疲労回復」といった効果は医学的にも証明されておらず、宣伝をすることができません。 エナジードリンクは、「効果」を期待するのではなく、リフレッシュのために活用するのがよさそうです。 私がアメリカの学会に行ったときに出た昼食には、アメリカらしくコーラなどの飲み物も付いていましたが、通常のコーラのほかに糖分ゼロカロリーのコーラやスプライト、カフェインフリーのコーラなどが選べるようになっていました。 ホテルの朝食のコーヒーもほとんどの所ではカフェインフリーのものをそろえていました。 アメリカのコンビニも糖分ゼロやカフェインフリーの炭酸飲料の品ぞろえが多く皆さんが選択して飲んでいるんだなと思った次第です。

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