予防医学コラム

子どもとコロナ その⑫ 子どもの接種、まだ3割

●5〜11歳のコロナワクチン「努力義務」に
5〜11歳の新型コロナウイルスワクチンの接種は、令和4年3月より開始されています。しかしその接種率は、9月末の段階でまだ3割にとどまっています(表)。この間のオミクロン株による第7波では、小児の感染者数が急増、重症例も増加、死亡例も出ています。こうした状況を受け日本小児科学会は、5〜11歳のコロナワクチン接種をこれまでの「意義がある」という表現から12歳以上と同じ「推奨する」という表現に、国も接種を受けるように保護者が努めなければならない「努力義務」とする方針に転換しました。

この方針の理由として
①小児患者の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加しています。
②成人と比較して小児の呼吸不全例は比較的まれですが、オミクロン株流行以降は小児に特有の疾患であるクループ症候群、熱性けいれんが増加し、脳症、心筋炎などの重症例も報告されています。
③ワクチンの発症、重症化予防効果について世界各国からの大規模な研究成果が蓄積され、5〜11歳のコロナワクチンにおいても、オミクロン株を含めて重症化予防効果は40〜80%程度認められることが確認されています。
④国内でもワクチンの安全性に関するデータが集積され、12〜17歳における副反応の発生率は、若年成人と同等であり、5〜11歳における副反応はより軽い傾向が確認されています。心筋炎・心膜炎の発生報告が稀にあるため注意が必要ですが、発症のリスク因子(10〜20歳代の男性)、接種後の症状、発症時期などが明確になっています。なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ、動悸、むくみなどの心筋炎、心膜炎を疑う症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

新型コロナウイルスワクチンに関する有効性と安全性に関する情報が多く蓄積されてきています。とくに子どもにおけるCOVID-19の重症化予防に効果があることが確認されたことから、メリット(発症予防や重症化予防など)がメリット(副反応など)を大きく上回るという判断に至っており、積極的な接種を推奨しています。9月2日、5〜11歳のコロナワクチンの3回目の追加接種が承認されました。さらに、4歳以下のワクチン接種についても検討されており(アメリカは6月に承認)、国内でも年内にも接種が開始されるかもしれません。

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