医療用医薬品(以下、処方薬)と一般用医薬品(以下、市販薬)、食品、サプリメントでは時に相互作用が起こり臨床上問題になることがあります。
エナジードリンクが、日本の市場に出て久しくなります。米国では学生がパーティで、エナジードリンクをお酒と一緒に飲むことがよくあって、映画でも同じようなシーンがよく出てきたりするので、水分を補給したりスポーツドリンクを飲む感じなのかと思って見ていましたが、あまりにも頻回に目にするので、学生に聞いてみた方によると「よりアルコールに酔えて、気分が高揚する」と説明してくれたそうです。
エナジードリンクは「清涼飲料水」に分類され、ビタミンB群、炭水化物、カフェインが多く含まれます。最近ではエナジードリンクの乱用の問題がいわれていますが、これはエナジードリンクに多く含まれるカフェインが問題視されているためです。
カフェインの致死量は60㎏の男性だと12g程度で、中毒量はその10%程度とされており、それを超えると何らかの副作用が見られるといわれています。
一方、ドリンクの種類にもよりますが、エナジードリンクの缶1本にはカフェインが80~140㎎程度含まれています。20缶飲むと、少なくとも1.6
g程度となり中毒域に達し、何らかの症状が出ることが予想されます。
最近は、錠剤も販売されており、これは1錠に100~200㎎のカフェインを含みます。眠気覚ましやダイエットにも使われ、ネットでも簡単に購入できることから、中毒関係や救急関係の学会でもよく話題になっているそうです。
カフェインはアデノシンと似た構造を持ち、アデノシン受容体のA1とA2A受容体に作用して、競合阻害によるアデノシン拮抗作用を示します。また気管支拡張薬のテオフィリンと同様に、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害作用もあります。これらの作用により、中枢神経系を興奮させ、覚醒作用、強心作用、利尿作用、脂肪酸の増加などが現れます。
もちろんカフェインだけが問題ではなく、アメリカ刑務所の実験で砂糖の過剰摂取させた囚人の凶暴性が増して精神的に不安定な状態になったとの報告を聞いたことがあります。
それに関してはエナジードリンクのみならず缶コーヒーなどにも多くの糖分が含まれており、微糖でも角砂糖約2個分、通常缶なら約12個分が1缶に含まれていて、清涼飲料水の糖分の取り過ぎは糖尿病なども含めて注意しなければなりません。
次回は更に進んだ話をする予定です。