よく知られている相互作用としてはワーファリンとビタミンKがあり、薬理学的相互作用として有名ですよね。ビタミンKが拮抗的に作用してワーファリンの効果を減弱します。ビタミンKが含まれる食品には納豆、クロレラ食品、青汁などがあり、採らないように指導された方も多いかと思われます。 ワーファリンの添付文書を見ると実際は食品だけではなく、薬でも相互作用の「併用注意」となっているものが多く記載されています。これは特にワーファリンは使われる機会が多いことからデータも多く集まったことと、相互作用の影響が大きい薬だからという事があるからだと思われます。 「食品ー医薬品相互作用データベース」では、初めて見るような相互作用の報告も多くあり、薬剤師としては患者さんにどこまで相互作用の説明をするかという事になりますが、薬剤師はどこまで患者さんに説明しているのでしょうか? 薬剤師としては、「この薬とこの食品は一緒にとっては危険」という新しい報告があったとしても、添付文書が法的根拠となるので、添付文書に記載のない限りはあまり変なことは言えません。添付文書に書けるまでのエビデンスがない報告であっても、患者によっては報告にあるような相互作用が起こる可能性はあるので、どこで線引きして患者さんに注意を促すかは難しい問題です。 実際に厚生労働省からはあくまでも添付文書に沿った指導をするように言われますので、薬の専門家としてそれをもどかしく感じている薬剤師がいることも現実だと思います。 新型コロナでもそうですが、あくまでもエビデンスがないことを言う事は出来ないので、国のトップの研究者もハッキリ断言することが出来なく、あやふやな意見に右往左往して最終的には地方自治体に丸投げの状態で責任回避をしているのではないかと思われる様に感じるのは私だけでしょうか? 例えば、リンゴはP糖蛋白に作用して、フェキソフェナジン(抗ヒスタミン薬)の吸収を妨げると報告されていますが、添付文書には記載がありません。逆に人によっては前回もお話した様にグレープフルーツジュースを飲んでもカルシウム拮抗薬の効果に影響がほとんど出ない場合もあります。しかし、そこは一律に「止めてください」と添付文書通りに説明するしかありません。 薬物間相互作用でも、Aの薬にはBの薬物相互作用の記載があるのに、Bの薬にはAの薬の相互作用の記載がないこともあります。つまり、相互作用を引き起こす片方にしか書いていない訳です。同じメーカーなら整合性がとれるかもしれませんが、別のメーカーの場合には、メーカーの判断や考え方で「注意」と記載する線引きのラインが違うのです。 つまり薬剤師として患者さんに注意を促すべきかの線引きはとても難しいことなのです。