予防医学コラム

高尿酸血症(痛風)の話6

前回、プリン体についても簡単にお話をしましたが、マスコミなどで騒がれ誤解も多い様なのでもう少し詳しくお話します。
尿酸といえば、すぐに「プリン体」のことを連想する人も多いのではないでしょうか。プリン体は、食品に含まれる物質で、体内で尿酸に変わります。
「プリン体を多く含む食品をとると尿酸値が上がる」…そんな話が一時、マスコミをにぎわせました。プリン体が多い食品の代表としてビールが取り上げられ、それならばと発泡酒や焼酎に代えた人もたくさんいたはずです。ビール会社でもプリン体を減らしたビールを開発したりしました。
しかし、プリン体は、細胞の核酸を構成する物質で、決して悪者ではなく、新しい細胞をつくるときには欠かすことができません。そのためプリン体のほとんどは、食品からとるのではなく、体内で合成されていて体内で代謝され、尿酸となります。
では、食べ物は関係ないのかと言うと実際にプリン体を多く含む飲食物を毎日大量にとっていると、確実に尿酸値は上がります。例えばビールを毎日がぶ飲みし、レバー類ばかり食べるようなケースです。でも、そんな食事を続ける人は、あまりいないでしょう。むしろ問題は、毎日の普通の食事における食べすぎや飲みすぎなのです。というのも、プリン体はレバー類などに限らず、肉類をはじめ多くの食品に含まれています。どんなメニューであっても、たくさん食べれば、それだけ尿酸は増えるのです。
またビールに限らず、アルコールそのものが体内で尿酸を大量につくります。さらにアルコールは、腎臓の尿酸排泄機能を低下させるため、ビール以外の酒類でもたくさん飲むと尿酸値が高くなってしまうのです。
そのため最近では、特定の食品にだけ注意するのではなく、慢性的な食べすぎ・飲みすぎと、その結果としての肥満が、痛風や高尿酸血症の原因として指摘されています。実際には私たちの体の中で、プリン体の80%以上が体内で合成され、残りを食品などからとっていると推定されています。
このような事から尿酸値が高めの人はプリン体を多く含む食品は、続けて食べないことが大切です。とくに酒の肴になる、白子、アンコウの肝、魚の干物類、イワシ、カツオ、干しシイタケなどには注意し、飲酒中でも野菜、海藻類をたくさんとることを心がけてください(野菜、海藻類は尿をアルカリ性にし、尿酸を溶けやすくします)。

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