予防医学コラム

陥没乳頭

女性の乳房の大きな機能は、乳腺で母乳を作り、乳管を通って乳頭まで運び、赤ちゃんに授乳させることです。
陥没乳頭とは、乳頭が乳輪より奥へ引き込まれている状態で、若い女性に多く見られます。女性の1〜2割が生まれつき陥没乳頭の状態ですが、とくに症状はなく経過し、思春期になり自覚または他覚されます。
陥没乳頭の原因は、乳腺と乳管の発達のアンバランスによるものと考えられています。また後天的なものでは、乳房のたるみ、急激な体重減少、外傷、乳腺炎、乳腺腫瘍などの後遺症、また乳癌などにより陥没してしまうこともあります。反対に、軽度のものでは妊娠・出産を期に自然に治ってしまうことがあります。
整容的な問題はもちろんですが、陥没していることにより清潔が保ちにくくなるため感染を引き起こしやすく、乳管炎・乳腺下膿瘍を繰り返すことがあります。また最大の問題は授乳です。母親は母乳が上手く出せないために乳房が張って疼痛に苦しみ、乳児は乳頭を咥えられず、また乳汁が出てこないのでイライラし双方にとってよくない状態です。
男性でも陥没乳頭の方はいますが、女性と異なり授乳の必要性がないためあまり問題になりません。
軽度なものでは吸引矯正やピアス牽引などで修正されることもありますが、これらで修正されない場合は手術の適応になります。最も大切なことは、授乳機能を温存することです。指で引き出せるような軽症例では比較的容易ですが、指で引き出せないような重症例では修正が困難なことも少なくありません。


 

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