予防医学コラム

アルコールアレルギーについて

アルコールを飲むと顔や体がまだらに赤くなる人がいます。
この症状はアルコールアレルギーと呼ばれ、アルコールを飲んだ際に蕁麻疹が出る、息苦しい(呼吸困難)、喉の閉塞感、皮膚のかゆみ、頭痛、顔の火照りや赤みなどの症状を伴う場合やそれらの症状が複合して出たりする場合アレルギーの可能性があります。
アルコールアレルギーは一般の食物アレルギーと異なり免疫の過剰反応から起こるものではなく、アルコールに対する耐性(アルコールを十分分解する酵素)がないことで起こります。
アルコールを代謝する酵素を持ち合わせていない人の場合は、体調に関係なく症状を発症します。お酒の種類も関係なく、アルコールの入っているものに反応するので、お菓子や漬物などの食品でもアルコールが入っていると同様の反応が出ます。アルコールアレルギーは、一口でも口にしたら呼吸困難、蕁麻疹などの重大な症状が現れる可能性もあり、元々アルコール耐性がない場合、耐性が備わることはありません。
お酒が全く飲めない体質がアルコールアレルギーで「お酒に弱い」「弱いけど飲める」という人とは別で、アレルギーの場合はひと口でも飲んだら呼吸困難や蕁麻疹などの重大な症状が現れる可能性がありますが、単にお酒に弱い人は、この代謝酵素の活性が低いと考えられていて、そういう人の場合はお酒を飲んだ量や、そのときの体調で左右される場合があります。
今まではお酒を飲んでも何ともなかったのに、後天的に症状を発症する人もいます。「疲れ」や「ストレス過多」で発症する人もいると言われていて、後天的に発症する原因は、現在もはっきりとわかっていません。原因がはっきりしない以上、お酒に弱い人だけでなく、お酒に強い人でも起こる可能性はあります。
アルコールアレルギーの人は、飲むアルコール以外にも、注意が必要で皮膚のアルコール消毒でも赤くなったり、シャンプーや化粧品のアルコールにも反応する場合があります。
お酒を避けていても、その他の物から取り込み、体調不良を起こしているかもしれません。アルコールの配合の有無は、パッケージの成分表示に記載されていますのでアレルギーの方は確認するようにしましょう。
アルコールアレルギーを根本から治療する方法や薬剤は現在のところありません。このためアルコールを摂取しない、接触しないことが基本的な改善策となります。現在さまざまな食品や製品に使用されているので注意が必要で、それを避けることが必要になるでしょう。アルコールを飲むと蕁麻疹ができたり、呼吸困難が起こるという人は、病院で一度検査を受けてみましょう。

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