予防医学コラム

顔面神経麻痺

笑いや悲しみ、怒りなど、わたしたちが表すさまざまな表情は、すべて顔面の皮下に存在する表情筋と言われる筋肉群の働きによるものです。その種類は20種類ほどあり、眉毛、まぶた、唇など部位によって異なる表情筋が作用しています。これらの表情筋はすべて顔面神経という一本の神経により支配されています。顔面神経は、脳神経の一種で耳たぶの後方あたりから頭蓋骨の外へ出て、複雑に枝分かれをしながら各種の表情筋に入っていきます。
その経路がどこかで障害を受けた場合、その部位と程度により様々な顔面神経麻痺が起こります。たとえば眉毛が動かなくなる、目を閉じることができなくなる、口を動かすことができなくなる、などの症状を起こすことになります。動きの強さの違い、拘縮(筋肉が縮んで伸びない状態)、異常共同運動(目を閉じると頬が動いたり、口を動かすと目が閉じたりする)により、多彩な症状を呈します。
様々な原因により顔面神経麻痺が起こりますが、ウイルス感染、外傷、先天性のもの、自己免疫疾患、中耳炎・内耳炎、腫瘍、手術に伴うものなどが挙げられます。
ウイルス感染が最多であり、身体に潜んだウイルスが疲れやストレスなどで身体の抵抗力が低下したときに活発になり発症します。多くは発症してから約一週間は麻痺が進行しますが、適切な治療を行うことで約8割の方が
1ヶ月ほどで元の状態に戻ります。一週間を過ぎても悪化していく場合にはウイルス性以外の原因(腫瘍など)も考えられます。約2割の方に後遺症を残すと言われています。
治療は原因によって異なりますが、場合によっては神経再建術を行うことがあります。また、後遺症が残ってしまった場合は、下がってしまった眉毛を引き上げる手術、外反してしまった瞼を治す手術、下がってしまった口角を引き上げる手術などがあります。

 

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