予防医学コラム

子どもとコロナ その⑥ 子どもはかかりにくい?

新型コロナウイルス感染は、当初、子どもが感染することは少なく、子どもはかかりにくいとされていました。コロナウイルスが細胞に感染する時、細胞の表面にウイルスのスパイク(突起)が接合し、これを足場として細胞の中に入り込んでいきます。この足場となるACE2(アンギオテンシン変換酵素2)受容体が、子どもたちは大人に比べて少ないため、接合し足場を作ることができず、感染を受けにくいのではないかとされていました。
ちなみにACE2の発現の多い臓器としては、肺、小腸、腎臓、血管、心臓、口腔、耳下腺などがあります。新型コロナウイルス感染の障害部位は、ACE2受容体の発現部位と一致しています(肺→肺炎、小腸→消化器症状、腎臓→腎障害、血管→血管炎、血栓形成、心臓→心筋炎、口腔→味覚障害、耳下腺→唾液中のウイルス)。
デルタ株による第5波では、10歳代の感染例の増加がみられました(表1)。
この結果は、子どもがコロナに感染しやすくなったわけではなく、ワクチン接種が成人、特に高齢者で進み、感染者が抑えられた反面、相対的にワクチン未接種の子どもの感染割合が高くなったものと考えられました。
しかし今回のオミクロン株による第6波は、「ターゲットは、高齢者と年少者では?」と言われていました。実際、全国で10歳未満の子どもたちの感染例が多くみられています。
北見市における今年1月から2月までの感染状況を年齢別に表2に示しました。
10歳未満の感染者がもっとも多く、割合も高くなっています。特に北見市内の2か所の保育園で比較的大きなクラスターがあり、園内クラスターと思われる感染者が多く出てしまいました。
オミクロン株感染の第6波の詳細なデータの検討はまだなされていませんが、従来から言われていた「子どもはコロナにかかりにくい」という事実はなさそうです。
大人と同じように、感染予防対策はしっかりおこなう必要があります。

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