薬局やドラッグストアで購入できる市販薬を「OTC医薬品」といい、医師から処方される医療用医薬品のうち、副作用が少なく安全性の高いものを市販薬(OTC医薬品)に転用(スイッチ)したものを「スイッチOTC医薬品」といいます。
厚生労働省は医療費抑制のために、セルフメディケーションを推進しています。現在、市販薬は1兆円位の規模で、まだ大きくありません。一方、処方薬は、約10兆円の規模となっています。厚労省はその10兆円をできるだけ削減したいので、スイッチOTCやジェネリック医薬品に切り替えていこうとしています。
スイッチOTCにする品目は「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」で決めていて、以前はスイッチOTCにする品目を薬剤師のみが決めていましたが、現在は医師も構成メンバーに入っています。
この会議で全会一致することで、スイッチOTCにする品目が決定されます。医師、薬剤師ら医療従事者はリスクを重視するので、スイッチOTC化には慎重になります。経済を重視する厚労省としては、医療従事者が構成員に多いとスイッチOTC化が進まないということで、医療従事者の構成員比率を減らしたいと考えているようです。
スイッチOTCは、「病院で処方される薬が薬局で買える」という触れ込みになっています。最近スイッチOTCとなったステロイド外用剤の「リンデロンVs」は、軟膏もクリームも処方薬と全く同一の成分です。これが多くの人のスイッチOTCのイメージだと思います。
しかし、スイッチOTCとうたっていても処方薬と同一成分でないものもあります。例えば、水虫用抗真菌薬のブテナフィンは、さらに効果を上げるために処方薬には入っていないクロタミトンという痒み止めや局所麻酔作用を持つ成分が配合されるものもあり、処方薬では起こらなかった副作用が起こる可能性もあります。この様により付加価値を出そうとしてさまざまな成分が追加されている場合があります。スイッチOTCは主剤ではなく、添加物でさまざまな副作用を起こすこともあります。そこでスイッチOTCは市販薬の中でも基準の一番厳しい第1類と言って薬剤師のいる薬局、ドラックストアの店頭で薬剤師が説明した上で初めて販売購入できることになっています。特に注意の必要なものも薬剤師に相談しながら自分で選択できるので安心ですが、OTCの場合、同じ薬でも医療用には記載のない眠気などや妊婦さんの使用について厳しめに書いてある場合があるので、添付している薬の説明書を読み、効能や使用上の注意、用法・用量などをご自分できちんと確認し、正しく用いることも大切です。
スイッチOTC医薬品などの市販薬を使用しても症状が十分に改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。