前回のコラムで、視力に最も重要な黄斑部に、異常な血管(新生血管)が生えて、視力が大きく低下する滲出型加齢黄斑変性の病状について解説しました。ではその病気は、どのように検査して見つかり、どのように治療するのでしょうか?
○検査
まずは視力検査で視力の低下が明らかになりますが、ゆがみの検査(アムスラーチャート)も早期発見のきっかけとなります。その後眼底検査で、黄斑部の出血やむくみの状態を確認します。眼底写真ではその状態を記録できます。しかし、眼底検査・写真は基本的に平面的な評価であり、網膜内部の構造変化を十分に観察することは困難です。そこで非常に重要な検査であるのが、光干渉断層計(OCT)による網膜の断面検査です。OCTでは、眼底を断面で評価できるので、脈絡膜から網膜に向かって、異常な血管(新生血管)が網膜色素上皮を突き破ったり、その下に生えている様子が確認できます。また、血液成分が漏出して網膜がむくんだり(網膜浮腫)、網膜下に液体や出血が溜まったり(網膜下液、網膜下出血)している状態を検出できます。また、何度も撮影できるので、治療後の評価も的確に行えます。これに加えて、蛍光色素を含んだ造影剤を腕の血管から注射して、眼底写真を撮影する蛍光眼底造影検査があります。新生血管の位置やタイプ、広がり、血管からの水分のもれ具合などがわかり、確定診断には必須の検査と言われてきました。
しかし、蛍光眼底造影検査は、造影剤を静脈注射するので、アレルギー反応であるアナフィラキシーショックなど、重篤な副作用を起こすリスクが稀ながらもあります。この問題を解決できる新たな検査として、光干渉断層血管撮影(OCTA)という技術が近年開発されました。OCTAは基本的にOCTであり、高速で同一部位を撮影することで、血液の流れを画像化して、造影剤無しで毛細血管まで描出することが可能になりました。これによって、多くの症例において、OCTAで新生血管を安全に検出することができるようになり、クリニックなどでも安心して加齢黄斑変性を評価することができるようになってきました。
○治療
前回のコラムの解説の通り、新生血管の発生には血管内皮増殖因子(VEGF)が関係していると考えられています。よって、このVEGFを阻害することにより新生血管を退縮させる薬物治療(VEGF阻害薬)が第一選択となります。治療法としては、目の中(硝子体中)に注射して投与します。初めて治療を行う際には、4週ごとに3〜4回注射を行い(導入期)、その後は定期的に診察をして、出血や液体貯留などの悪化がみられれば、再度注射を行う方法や、病気の活動性に応じて注射の間隔を調整する方法などにより、長期的な治療の継続が必要となります(維持期)。OCTは毎回撮影ができるため、再発や悪化などを的確に評価して、治療を行います。
また、光線力学療法(PDT)といって、光感受性物質を点滴し、その後に非常に弱い出力の専用のレーザーを病変に照射する治療法もあります。治療のためには専用のレーザー装置が必要で、眼科PDTの認定医が行います。現在このPDTは、必要時にVEGF阻害薬硝子体注射に併用して行われることがありますが、単独で行われることはほとんどなくなりました。オホーツク眼科では、OCTやOCTAを適切に活用し、正しく診断をした上で、VEGF阻害薬を用いた硝子体注射を即日に行うことができます。ゆがみなどの症状を来した際は、当院へまずはご相談下さい!