痛風の診断基準としては次のものが考えられますが
①症状が出てから1日以内にピークに達する
②以前にも同じような症状があった
③一度にひとつの関節だけに症状がある
④関節の部位が赤くなる
⑤関節が腫れている
⑥足の親指の付け根の関節に激痛、腫れがある
⑦片足の親指の付け根の関節に炎症がある
⑧片足の足首の周りの関節に炎症がある
⑨血液検査で尿酸値が高い
痛風に似た病気としては蜂窩織炎(ほうかしきえん)、溶結性連鎖球菌感染による壊死性筋膜炎など、とても危険なものもありますので自己判断で痛風と診断する事はしないで、やはり最終判断は専門知識を持った医師による必要があります。確実な痛風の診断は、痛風の発作中の関節の中に尿酸の結晶があることを証明することです。痛風の症状は特徴的なので、専門知識を持った医師であれば症状や通常の検査結果で十分に診断が可能です。
痛風の発作自体も、激烈で耐えがたいほどの痛みで放置するとその激しい関節の痛みを繰り返したり、体のあちこちに結節が出来たりする恐ろしいものですが、痛風の恐いところはそれだけではなく、尿酸値が高い状態を放置していると、さまざまな合併症を引き起こします。高尿酸血症は糖尿病や脂質異常症、高血圧を合併しやすいことでも知られています。これらの生活習慣病は狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患を引き起こすことがあります。体内に尿酸が増えると、関節だけでなく腎臓に結晶化し溜まることもあり、腎臓のなかに尿酸結晶が溜まると、腎臓の機能が低下し、より尿酸結晶が蓄積しやすくなり慢性腎不全に陥ることもあります。痛風は発作のないときには全く無症状ですが、発作は必ず再発します。その期間は人によって様々で、1週間で再発することもあれば、5年たってなる方もいらっしゃいます。痛風発作を繰り返しているうちに、発作の間隔が短くなり、腫れも強くなります。一度に二つ以上の関節に発作が出たり、足だけでなく、膝や手首の関節に発作が出るようになると、相当重症になっている証拠です。
痛風は痛風発作の時以外は無症状なので、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」患者さんが多く、治療が続かないことがよくあります。痛風は、症状のない間に体が少しずつおかされるのが特徴ですから、「症状がないから治った」と思うのは病気に対する認識が甘いと言わざるを得ません。痛風の治療は痛風発作の痛みをとるだけではなく、高い血清尿酸値を正常範囲に維持し、最終的には腎臓障害や他の成人病の合併を防止するのが目的です。このことをかかりつけのお医者さんと患者さんが理解しあって初めて痛風の生涯治療が成り立ちます。痛風を十分に理解し治療に取り組んでください。