予防医学コラム

コップ1杯の牛乳が大腸がんリスク減少と関連する可能性②

 この研究では、参加した女性のほとんどが推奨レベル以上のカルシウム(700㎎以上)を摂取していることがわかりました。しかしこれは、一部の参加者が、食事にカルシウムサプリメントを追加していることによる可能性があります。パンや特定の菜食主義者向け製品(植物性ミルクなど)には、カルシウムが添加されています。しかし、カルシウムのサプリメントやカルシウム強化食品が、大腸がんリスクの低減に同じ効果があるかどうかについては、さらなる研究が必要である様です。
「この研究では、カルシウムサプリメントの摂取と大腸がんリスクとの関連を調べることはできませんでした」とPapier博士は説明しています。「カルシウムサプリメントが広く使用されていることを考えると、今後の研究では、大腸がんの予防におけるカルシウムサプリメントの役割を、多様な集団で調査することが必要です」。との事です。
そのほかの食品と大腸がんの関係について、英国では毎年約44100人が大腸がんに罹患しており、これは4番目に多いがんとなっています。しかし、大腸がんの10件に5件以上は予防可能であり、 食事とがんの関連を明確に示すのは難しい場合があるが、特定の食事とがんリスクには明確な関係があると、Papier博士の研究では、アルコール摂取と大腸がんリスク上昇の明確な関連性も確認しています。1日に20gのアルコール(ワイン大グラス1杯分に相当)を追加摂取すると、大腸がんリスクが15%上昇することが判明したと報告があります。
「大腸がんは、人々に影響を与える最も一般的ながんのひとつであり、だからこそ、その予防法を知ることが非常に重要なのです。」と、シニアヘルスインフォメーションマネージャーのSophia Lowes氏は言っています。
「健康的な体重を維持し、喫煙を止めることと並んで、健康的でバランスのとれた食事を維持することは、大腸がんのリスクを下げる最善の方法のひとつです。たとえば、アルコールや赤肉、加工肉を控え、果物や野菜、全粒穀物をたくさん食べることなどです。牛乳のような乳製品も、大腸がんリスクを下げる食事の一部となり得る様です。
次のステップとして、カルシウム摂取量を増やすことがすべての人に推奨されるかどうかを判断するのは、まだ時期尚早ですが、Papier博士の研究チームは、多様な食生活を送る集団において、大腸がん予防におけるカルシウムの役割をさらに詳しく調べ、カルシウムをどのように活用すれば最も大腸がんを予防できるかを明らかにしたいと考えている様です。

原口先生コラム

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