予防医学コラム

ビールは冷温がうまい科学的な理由

酒のおいしさを科学的に分析すれば、よりおいしく飲む方法が分かるのではないか。酒ジャーナリストの葉石かおりさんが、食品の味を科学的に分析するユーロフィンQKENのマネージャーである肥田崇氏に、酒の種類ごとの適温や、料理と合わせる際の考え方について話を聞きました。 
心身のコンディションによって、味の感じ方が変わったり、欲する酒が変わったりするのも実に興味深い。例えばストレスがあると体は苦味を欲するのだが、これを書いている今日は朝から「レモンサワーが飲みたい」と思っているので、相当ストレスがたまっているのだろう。日本酒やワインなどの味の決め手となる成分に関しても、目からウロコだった。科学的な視点から酒を知れば知るほど、「じっくり味わって酒を飲もう」と思う。
今回はさらに欲張って、酒をさらにおいしくする要素である温度帯(適温)、合わせる料理との相性について、引き続きユーロフィンQKEN (旧・キューサイ分析研究所)おいしさコンサルティンググループのマネージャーである肥田崇氏に、科学的視点から教えていただこう。
まずは温度について。酒には冷やすとおいしいもの、常温でおいしいものがある。それぞれの適温について、どのように考えればいいのだろうか。
「温度帯によって変化しやすい味覚は、酸味、苦味、渋味などがあります。特に酸味と苦味は温度が低いほど感じやすいので、レモンサワーやビールは冷やしたほうがいいでしょう。また、苦味や渋味があるものは、冷やすと爽快感、キレが増します。ホップの苦味が効いた、キンキンに冷えたラガービールをおいしいと感じるのは、そういう理由です」(肥田氏)
これは実体験からもよく分かる。生ぬるいレモンサワーやラガービールを想像すると、全く心が動かない…。また、酸味の強い白ワインでも同じことが言える。肥田氏によると、「酸味は閾値(いきち)が低く、温度が低くても感じやすい」という。
「人間や動物にとって、酸っぱい香りは『腐敗臭』を意味します。それゆえに低い温度でも、感じやすいのです。これは進化の過程でそうなったと考えられます」(肥田氏)
左党の一分 健康に飲み続けるための掟より

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