今回は、不整脈のメカニズムと原因についてお話しします。
おそらく不整脈をお持ちの患者さんは、原因について先生に聞いても、『年齢のせい』と言われて終わっていると思います。大きな意味で間違ってはいません。年齢とともに不整脈の発生頻度は高くなります。そのため、メカニズムを知る事で早期に原因を除去できるように、前回お話しした3つの不整脈について、一つずつ説明します。
『頻脈性不整脈』
ほとんどが心房由来の不規則で速い電気信号の出現により頻脈になります。この不整脈は高齢の方に多くなります。また、発作性上室性頻拍(PSVT)は電気刺激を伝える回路の異常でおこるため、抗不整脈薬では完治は不可能なため、カテーテル・アブレーションが必要となります。
また心室性の頻脈には、心室細動、心室頻拍があり、致死性不整脈です。突然倒れ意識が無い方がいれば、ほぼこの不整脈ですので、AED(除細動器)による速やかな治療が必要です。
『徐脈性不整脈』
心拍数が遅い不整脈で、洞機能不全症候群と房室ブロックがあります。洞不全症候群は、心臓が動くように電気刺激を与える洞結節という部分の機能が低下する状態です。また、房室ブロックは、電気刺激を心臓全体に伝えるための「刺激伝導系」と言われる回路が滞ってしまい、適切に心臓が動かなくなる状態です。両方とも失神や、転倒して怪我をする可能性がありますので、ペースメーカーが必要になる場合もあります。
『期外収縮不整脈』
期外収縮には、心房性期外収縮と心室性期外収縮があります。期外収縮では、脈が早く打たれるため、その後の脈が少し遅れて脈を打つように感じます。症状は無症状のことも多いですが、のどや胸の不快感、動悸、短い痛みのような症状を感じる人もいます。期外収縮は多くの場合は病気と関係なく生じ、30代を過ぎた頃からほとんどの人に認められ、年齢とともに増加します。若者でもストレスや睡眠不足、疲労、コーヒーやアルコールの過剰摂取により生じることがあります。また、月経前に生じやすいことも知られています。
最後に、原因となるキーワードは、『高齢』、『生活習慣病』、『ストレス』、『アルコール過剰』、『遺伝』です。気になった方は循環器内科医の受診をお勧めします。
次回は、『弁膜症』についてお話ししたいと思います。