今回は、日常診療において訴えの多い動悸と不整脈についてお話しします。
皆様は『動悸』と聞いて、どのような症状を思い浮かべますか?症状はひとそれぞれです。心臓の鼓動が気になる人。脈拍が速くなる人。脈が飛ぶ人。色々な症状で外来受診されますので、どれに該当するかで、私たちは不整脈の種類を想定する作業に入ります。ただ心電図をとれば一発で判明することは少ないです。そのため1枚の心電図で、
『不整脈は出ていませんね』、『動悸の原因はわかりませんね』と答えようものなら、患者さんはがっかりされることでしょう。
当院では、心電図だけではなく、血液検査、心臓超音波検査、24時間ホルター心電図を行うことで、少しでも動悸の正体を突き止めるように心がけています。
24時間ホルター心電図は、自宅で記録することができますので、入院の必要はありません。1日10万回の脈拍をすべて記録するため、動悸のあった時間帯を細かくみることで、不整脈が発見できます。たまたまその日は動悸が無かったとしても、しつこく何度でも行い、不整脈が記録できるまではあきらめません。
血液検査は、生活習慣病が原因になっていないか。甲状腺の病気が隠れていないかを見るためのものです。糖尿病や甲状腺機能亢進症の方は不整脈の大きな原因となります。
心臓超音波検査は、心臓弁膜症が原因になっていないかを見ます。弁膜症のために心臓に負担がかかり不整脈が誘発されていないか。また呼吸器疾患により肺の圧力が高くなり、不整脈が誘発されていないかもわかります。
以上の検査を行っても判明しないときがありますが、あきらめないでください。最近では携帯型心電計が通信販売で購入可能です。症状が出たときに簡単に記録できますし、時計型のものよりも正確です。まずは私たち循環器内科医に御相談ください。
次回は、『不整脈の種類』についてお話ししたいと思います。