予防医学コラム

異物肉芽種

異物肉芽腫とは、体内に長時間分解されずに存在する異物が、慢性の炎症反応の結果、腫瘤を形成したものです。体内に異物が入った場合、早期に感染を起こすこともありますが、ゆっくりと分解されて吸収されていく場合もあります。しかし体がすぐに処理できないようなものは、一旦まわりに被膜が作られて包まれ、閉じ込められます。原因物質の種類、感染の有無、経過時間により様々な症状を呈します。通常は異物が入ってから数ヶ月から数年後に痛みなどの症状が現れます。 異物肉芽種の原因となるものは、虫刺されや外傷による異物の残存、手術で使用した糸など様々です。金属片・鉛筆のしん・木材・植物の棘など、美容医療によるヒアルロン酸・豊胸術のシリコンバックなど、消化管内の植物の種・魚の骨・寄生虫など、気管内のスイカの種・歯の詰め物など、腹腔内の手術によるガーゼの取り残しなど、多岐にわたります。 外傷などの原因が明らかな場合は診断は容易ですが、そうでない場合は困難です。異物の種類によってはレントゲンなどに写るものもありますが、写らないこともあり画像では判断がつかず、時には悪性腫瘍を否定できないこ ともあります。 時には数十年たってから突然炎症を起こすこともあります。炎症の引き金としては細菌・ウイルス感染などの全身疾患が挙げられます。新型コロナウイルス感染後やワクチン接種後に、大昔にヒアルロン酸を入れた部分が腫れたという報告もあります。 抗アレルギー薬やステロイドの投与で軽快することもありますが、根本的な治療は摘出術です。

 

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