赤ちゃんの顔や首になる部分は、お母さんのお腹の中にいるころに鰓のようなものができ、これが複雑に発達しながら作られていきます。この過程で異常が生じた場合、首まわりにしこりができることがあります。2つの代表的な疾患について説明します。 ●正中頸嚢胞 甲状腺が作られる過程で異常が生じた場合に発生するものです。甲状腺の出来初めは、舌の奥あたりに出現し、喉の真ん中を通って下に降りてきて甲状腺となります。この通りみちに甲状舌管という細い管が一時的に作られます。通常は甲状腺が出来上がるとなくなってしまうのですが、これがなくならず嚢胞や瘻孔が残ってしまうことがあります。 喉仏のあたりにしこりができますが、普段痛みや異物感などはなく、小さなうちは気づかれないこともあります。細菌感染をした場合は痛みや腫れが出たり、場合によっては皮膚に穴が開き分泌物が出てくることもあります。 症状がない場合は様子をみることもありますが、成人に至ってから癌が発生したという報告もあります。治療は手術になりますが、手術では嚢胞と甲状舌管を切除します。そのためには舌骨の一部を切除し、さらに舌の付け根まで伸びる甲状舌管を見つけ出し、瘻孔が残らないように全てを切除します。 ●側頚嚢胞 首が作られる過程において皮膚の細胞が皮膚の下に取り残されて嚢胞や瘻孔が残ってしまったものです。 顎の骨の下、胸鎖乳突筋にそって多く見られます。場合によっては瘻孔が深く喉の奥まで繋がっていることもあります。正中頚のう胞と同様にしこりができ、感染することがあります。 こちらも治療は手術で、嚢胞や瘻孔を完全に取り除きます。