予防医学コラム

子どもとコロナ その④ 子どもコロナの感染経路

2021年4月27日までの国内小児COVID-19症例1662例の感染経路を図1(厚労省、研究班)に示します。子どもの感染の70%以上は家庭内で起こり、特に父親からの感染が約半数を占めていました。学校関連、幼稚園、保育園関連が5%であり、変異株による感染経路の変化はみられていません。
子どものコロナの感染経路は一貫して家庭内が最も多く、第5派の8月、9月でも家庭内感染が7割以上を占めています。この間、学校や保育園などのクラスターも複数みられていますが、これらの環境が流行の主な場所となることはなく、学校や幼稚園、保育園などが流行の中心となるインフルエンザと比べて明らかに異なっています。コロナ感染においては子どもが感染拡大の主因となるインフルエンザと違い、子どもの感染が全体に及ぼす影響は少なく、大人の感染予防が重要となります。
北見保健所管内の子どもの感染経路(図2)
2021年の1年間に乳幼児〜高校生の70人(3ヶ月〜6歳19人、小学生20人、中学生9人、高校生22人)がコロナに感染しています。感染経路をみてみると、友人間3人、保育園での感染8人(クラスター)、高校内での感染7人(クラスター5人)、感染経路不明5人、それ以外はすべて家庭内での感染(67%)でした。家庭内では母親からの感染が19人と最も多くなっています。この地域でも学校、幼稚園、保育園での感染に占める割合は小さいのですが、9月に発生した保育園でのクラスターは、今後の感染を考慮する上で重要となりそうです。濃厚接触者として検査した一人の陽性が確認され、全ての園児の検査施行。その結果1歳児の計6人の感染がわかりました。6人は軽いカゼ症状あり。その後の経路で1歳児6人の家族ほぼ全員(計20人)に感染が波及してしまいました。5人は園内での感染と考えています。
保育園は、園内にいる時間が長く、しかも年齢から特に密な状態にあります。さらに手洗いも十分にできにくく、2歳未満のマスク使用もできないなど、感染のリスクは高くなります。一人感染者がでた場合とくに拡大する可能性があり、今後十分に注意する必要があります。

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